その男、ゼロのスタート ページ36
良太郎「ねぇ…ねぇ、ちょっと待って!」
良太郎が声をかけているのは…
突如現れ、桜井侑斗と名乗った青年。
侑斗「何?」
良太郎「君の名前、桜井侑斗って本当に?」
侑斗「嘘ついてどうすんだよ」
良太郎「いや…僕の知ってる桜井さんと同じ名前だから…」
良太郎の知ってる桜井さんと同姓同名な彼。
もしかしたら、と淡い期待を抱いてしまう。
侑斗「名前が同じなら同じ人間だろ?」
良太郎「そんなこと…」
侑斗「お前鈍いな、俺がチケット持ってることを考えろ」
良太郎「まさか…」
良太郎と同じくチケットを所持するということは
良太郎「過去から来たってこと?」
未来や過去を行き来することができるということになる。
侑斗「さぁ?」
良太郎「真面目に答えてくれないかな、君本当に過去から来たわけ?」
良太郎「それに桜井さんを探すために過去に飛ぶのをやめろと言ったよね?君何か知ってるの?」
いつもなら大人しく下がりそうな良太郎だが
桜井さんの話となると別になってくる。
同じ人物だと匂わせる謎の青年侑斗。
何か知ってるとしか思えない。
侑斗「うるさい」
肩と肩がぶつかり合い
油断していた良太郎は尻もちをついた。
侑斗「お前、野上良太郎だとか言ったな」
侑斗「お前は理由なんて知らなくていいんだよ」
理由なんか知らなくていいということは
ほぼこの侑斗が桜井さんが消えたことについて何らかの理由を知っていることは間違いないだろう。
侑斗「とにかく、過去の桜井侑斗と関わるな」
侑斗「でないと時の運行が乱れるぞ」
良太郎と別れたあと
1人で歩く侑斗。
すると突然立ちどまり
侑斗「あいつめちゃめちゃびっくりしてんの、ほんとなんも知らないんだもんな」
まるで誰かに話しかけるように笑った。
すると
『そういうのよくない』
良太郎のことを笑う侑斗とは反対に
そういう意地悪なことをするのはよくないと穏やかな声が聞こえてきた。
侑斗「なんだよ」
さっきまで笑ってた侑斗は一変
ムスッと不貞腐れたような顔になる。
『侑斗、今のは意地が悪すぎる』
侑斗「いいだろ!別に」
良太郎と話していた時は冷めたような話し方をしていたのに
なぜかちょっとどこか幼い子供のような話し方になっている。
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作者名:ちあ | 作成日時:2019年11月26日 23時