Milky Way 6 (ページ9)

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208 抱きしめたい＊S＊ページ9

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この三年間、ずっとAのことが忘れられなかった、とまでは言わない。

俺はちゃんと次の恋をしたし、楽しんだ。

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でも、彼女達と一緒にいる時にさえも、ふとした瞬間Aのことを思い出したのは紛れもない事実だ。

俺の中のAの存在感は日に日に大きくなっていく。

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帰国すると決めてからはこの気持ちを早くAに伝えたくてたまらなかった。

そして、きっとAも俺と同じ気持ちだと思っていた。

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Aも俺と同じように、空いた心と体の隙間に入り込んできたニノと、ちゃんと恋をしてるんだろう。

ちゃんと、恋を楽しんでるんだろう。

そしてニノに触れられ、肌を合わせながらも、その瞬間にふと俺のことを思い出し、束の間過去に浸ってくれていたらいいなって。

そう思ってた。

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やっばりこの人だ。

この人しかいない。

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そう思った相手が他の男に抱かれてる姿を想像するのは些か不快ではあったけど。

そうやってAもいつか俺という男の存在に気付くんじゃないだろうか。

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お互いに色んな恋をして、そして最終的に俺たちはきっとお互いを選択する。

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世界中の異性の中から、ただ一人。

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今日、俺はAへの気持ちを伝えようと思ってた。

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今すぐニノと別れて欲しいとは言わない。

きっとそのうち自然にそうなるだろうから。

急ぐ必要なんてない。

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今日俺が想いを告げることで、夏に俺が帰国するまでの半年間、Aがたくさん悩めばいいと思ってた。

ニノと一緒にいる時に悩んで悩んで苦しんで、もっと俺のことを考えてくれればいいと思ってた。

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もう半年もすればいつでも会いに行ける。

夜空の星を見上げながら日本は何時だっけ、今何してるんだろうな、なんてもがく必要もなくなる。

内容の思い出せない夢を見て、目覚めて目尻に伝う涙の跡を拭くこともない。

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抱きしめたいんだ。

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もう一度この手で、この胸の中に抱きしめたいんだ。

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今も想い出の中をゆらゆらと泳いでいるのは、俺だけなのかな。

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まるで春の満開の桜の花弁のように、ハラハラと舞い散る雪の中。

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遠ざかっていくニノとAの背中と。

薄っすらと白くなったアスファルトの上の寄り添う二つの足跡を思い出しながら、俺は眠りに落ちていった。