Milky Way 6 (ページ39)

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238 朝日ページ39

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海で打ち上がる花火を見るのは、これが初めてだった。

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私の地元の花火大会は、山に囲まれた盆地に流れる川の河川敷で行われる。

だから花火が一つ打ち上がるたびにその爆音が山々に反響して鳴り響き、興奮をさらに煽る。

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真っ暗な空。

そして、漆黒の海。

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太陽が落ちた海との境界線は見えなくて、どこまでが海で、どこからが空なのかわからない。

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そんな果ての見えない夜の海。

きっと、好きな人と二人きりで過ごすにはロマンチックではあるんだろうけど、何だか先の見えない不安とよく似ている気がした。

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「ここから朝日が昇るの見てぇな。…すげぇ奇麗なんだろうな」

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カズのその言葉にハッとした。

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明けない夜はない。

必ずその時間がくれば太陽が昇り、明るく照らすんだ、と。

未来は常に現在に変わっていくんだ、と。

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そう、カズに気付かされた。

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ここに打ち上げられる花火はとても伸びやかで開放的だ。

防波堤から打ち上げているのか、船から打ち上げているのか、広範囲に上がる小さな花火もとても印象に残る。

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何より夜風が心地いい。

焼けたコンクリートの熱を奪ってくれる。

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砂浜の各所に設けられたスピーカーから、音楽が流れ始める。

その音楽の音色とリズムに合わせて花火が色を変え、形を変え、次々と夜空に打ち上がる。

まるで、花火が音楽に合わせて踊ってるみたい。

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「すごいね！この音楽も素敵！」

「こういうのさ、うちの地元でもやればいいのにな」

「うん！」

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音が止み、夜空から花火のダンスの名残が消えると。

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辺りには、燻り続ける独特な火薬の匂いと静寂が訪れた。