Milky Way 6 (ページ21)

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220 夢＊M＊ページ21

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「留学ってさ、どうしても行かなきゃいけないの？」

返ってくる答えなんてわかり切ってるのに、聞かずにはいられなかった。

だって、最近のAちゃんは弱音を吐かなくなった。

ニノと離れるのが怖いって言わなくなった。

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でもそれは、怖くなくなったわけじゃなくて。

受け入れざるを得ないから、言っても仕方がないから言わないだけなのが俺にはわかるんだ。

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ねぇ、ニノ。

ニノの大好きな女の子は、きっとニノが思ってるよりもずっと、ニノのこと好きだよ。

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「水仙ってさぁ、俺、てっきり夏の花かと思ってたわ」

ニノはこんなに俺が心配してるのに、全然違うことを言い出す。

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「俺の話聞いてないでしょ！」

「冬の花だったんだなぁ」

「だから！！」

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「俺、自分がデザインした家を建てんのが夢なんだわ」

「え…？家？」

ニノは花屋に溢れ返るたくさんの花の中の、白と黄色を凝視している。

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「そんでさぁ、…庭には水仙いっぱい植えてぇんだよなぁ」

「水仙？なんで？…Aちゃんが好きなの？」

「普通に家建てるだけならさ、大学出てそれなりのトコ就職して、二年経ったら一級建築士の試験受けられっからさ。それでいんだけど」

「うん」

「やっぱ、ほら。将来好きな女を自分の人生に巻き込むからにはさ？…いらねぇ苦労とかさせたくねぇじゃん」

「まぁね」

「建築を勉強してくうちにさ、欲が出たのよ。…家建てるだけじゃなくて生涯の仕事にすんならさ、もっとでけぇ仕事もしてぇし」

「へぇ…」

「自分の人生に巻き込む前の、今しかさ。ねぇかなって」

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「もうね、Aを一緒に連れて行きたくてたまんねぇのよ。でも無理だろ、親のスネ齧ってる学生の分際でさ。笑

翔ちゃんは帰国したら超有名店に就職が決まってっし。…結婚とかさ、しようと思えばできんじゃん」

「Aちゃんはニノから心変わりしたりしないよ！！」

「…Aがもし俺が一人前になるまで待っててくれたらさ、…そしたら」

「そしたら？」

「俺の建てた家の庭に水仙いっぱい植えてさ、Aがいて。そこに帰んのが今の俺の夢かな。

…つーか！！ぜってぇお前、Aにこんなこと言うなよな！！」

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…なんかさ、感動して手の震えが止まんないよ。

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悪いけど、こんなかっこいい夢、俺黙っていられないや。

ごめんね、ニノ。