Milky Way 6 (ページ20)

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219 花屋の前で＊M＊ページ20

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スーパーの入り口近くにある花屋の前で、ニノを見かけた。

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こっちに背中を向けてたけど。

ダウンのポッケに突っ込んだ手と、暖房が効いてる屋内なのになんだかとても寒そうに見える丸っこい背中とで、それはニノだと遠目にもわかった。

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「ニノ、何してるの？」

「…おぉ」

俺が声をかけると、ニノはなぜだかわかんないけど少し慌てた感じで歩き出す。

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「こんなとこで会うの珍しいね」

「…Aんちに行く前に豆腐買ってからこいって言うからさ」

「あ、今日鍋するの？」

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別に、他意なんてなかったのに。

「…来んなよ？」

ニノはジロリと俺を見て、そう言った。

「行かないよ！！」

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行かないよ。

行くわけないじゃん。

二人で過ごせる時間なんて限られてるんだから、邪魔なんてしないよ。

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「でもさ、まだ時間大丈夫なんでしょ？そこでコーヒーでも飲もうよ」

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花屋の前にあるカフェに俺が誘うと。

てっきり、誰がオマエなんかと！なんて返ってくるかと思ったのに。

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「ああ。…俺も飲みてぇなって思ってたのよ」

って、ニノにしては珍しくノってきた。

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二人で煙草を吸いながら煎れたてのコーヒーを飲む。

いつもはブラックだけど、煙草が一緒に吸える時は俺はミルクを多めに入れるんだ。

その方がなんだかどっちもより美味しく感じるから。

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窓の外を見ていたニノが、ホワイトデー用の可愛らしいお菓子が並べられたワゴンを見ている。

…ように、感じた。

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「俺、Aちゃんから手作りチョコもらっちゃったもんねー」

「ああ、あれね？俺に作ったやつの余りだから」

「いいの！そんなことわかってるんだからいちいち念押さなくても！…ホワイトデーのお返し、もう買った？」

「お返しねぇ…」

ニノはそう呟いて、またワゴンに視線を移す。

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ニノと会うのは二ヶ月ぶりだ。

Aちゃんとニノと、例のイケメた元彼とがうちのバイト先で揉めて帰った後、俺はナツキちゃんから事の顛末を聞いた。

あれから時々、俺は電話やメールでAちゃんの話を聞いてあげてる。

俺にはそんくらいしかしてあげられないから。

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一年って、長いよね。

振り返ったらあっという間だけどさ。

その間、ずっと好きな女の子と会えないなんて。

…俺だったらきっと、耐えらんないかな。