Milky Way 6 (ページ1)

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フランスに帰る前に会えないかと言われた時点で、私は翔クンに対して今までとは違う何かを感じていたのかもしれない。

もっと厳密に言えば飲み会の、あの帰りのタクシーの中の出来事からそう感じていたような気がする。

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なのにどうして翔クンに会ったりするのかともし誰かに問われたら、自分でも答えられないのに。

私はなぜ二人で会おうと思ったんだろう。

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翔クンは、私にとって特別な人だ。

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初めて私のことを好きだと言ってくれた人で。

私も大好きだった人で。

初めて付き合った人で。

私に初めての色んな経験をくれた人。

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私にはもったいないような素敵な人なのに、何の取り柄もない私をとっても大切にしてくれた。

初めて身体を重ねて、女の子に生まれて来てよかったと心から思える幸せを、たくさんたくさん私にくれた人。

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翔クンのことを嫌いになって別れたわけじゃない。

好きの大きさが、翔クンよりもカズの方が大きくなったことを、離れてみてはっきり自覚したからで。

決してお互いに憎み合って別れたわけじゃないから、私の中で翔クンとのことは今でも素敵な想い出として記憶されたままだ。

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会いたいと言われれば、素直に嬉しかった。

もちろんカズを不快に感じさせるようなことはしたくなかったから、会う場所はオープンな雰囲気の、雅紀クンのいる居酒屋さんにしてもらったし。

カズ自身にも、翔クンと会うことはメールで知らせておいた。

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雅紀クンがビールを運んで来てくれて、グラスをテーブルの上に置きながら言う。

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「今ニノにAちゃんがここに来てること言ったらびっくりしてたよ。笑」

「そうなの？メールしてたんだけど」

「うん、気付いてなかったみたいでさっき携帯見てた。後でこっちに顔出すって」

「お友達と一緒なのに悪かったなぁ。…でも言ってくれてありがと。笑」

「だって、ほら」

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雅紀クンはチラリと意味あり気に翔クンに視線を走らせる。

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「彼女が元彼と二人きりで酒飲むって穏やかじゃないでしょ」

「そんな変な意味はないから。笑」

「Aちゃんになくてもそっちはそうでもなさそうだし？」

「え？」

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「……そう思ってんならさ」

翔クンが鬱陶しそうに前髪をかき上げながら言った。

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「いい加減、邪魔しないでもらえるかな」