確かな謎 ページ42
そんなのはお構い無しの若武。
「この6ページは何故消えたんだと思う?
君の見解を説明してくれ。」
そう言われたので仕方なく観察に集中する。
結構キレイな切り口だな。
カッターにスケール、か。
時間的に余裕を持ってやったっぽい。
「このページは切り取られたと思われるね。」
本をグイッと開けて、切り口を見せた。
僅かに残っている切れたページの端。
「でもそんなこと、出来ないはずよ。」
有田先生が言った。
「この図書室はご覧の通り、狭いでしょう。
閲覧室もないし。
私がいつもこのカウンターの中に居るんだから、
見つからずにページを切るなんて、できっこないわ。
帰る時にはカギをかけて行くし。」
「有田先生がちょっと席を外した時にやったって可能性は?」
黒木の問いに有田先生はムッとして答えていた。
「ないわよ。」
見えないヒバナを散らしている2人の間に、
割って入った。
「ストップストップ。
この切り口は、凄くキレイでしょ。
多分、カッターとスケールを使ってんだと思う。
その辺小塚教授、どう思う?」
「うん。
顕微鏡で見ればハッキリするけど、
カッターとスケールの可能性が高いかな。
ということは、急いでやった仕事じゃないよね。」
「ナイス小塚教授。」
言いたいこと全部言ってくれて嬉しいよ。
「となると、犯人はこの本を借りて
家で切ったって事になるよな。」
そう言いながら、若武は有田先生を見た。
「この本を最後に借りた生徒の名前、
分かりますか?」
有田先生は答えるかと思いきや、
参ったと言うようにため息をついた。
「それが……
この本はここに入ってから、
まだ一度も貸し出してないの。」
私達は目を見開いた。
だって変でしょ。
余裕を持って切ったのに、家じゃないの?
あ、確かに貸し出してたら
その子が犯人だってすぐ分かるか。
依頼する前に。
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作者名:イチゴミルクティ。 | 作成日時:2021年3月16日 20時