噛み合っていないようで ページ29
｢十四松兄さーんっ！
秀明まで送ってっ。｣
｢いいっスよー！！！｣
しっかり捕まっててねー！
と、小さい子供に呼び掛けるように言われ、少々ムッとした。
だが…本当にしっかり掴まっていなくては
落ちるところだった。
｢ちょ、十四松兄さんっ？！
待て待て待て待てっ！
ステイっ！！｣
｢えぇ…ワンっ！｣
｢犬かよっ！！｣
｢たまに一松兄さんと散歩してるっ！｣
｢恥ずかしいという心は無いのか兄さんには？！｣
｢無いね！｣
｢即答しないで。哀しくなってきた。｣
｢気ぃ抜いたら落ちるよーっ。｣
｢落とすなよっ！！
バカ十四松兄さん！｣
｢僕はバカじゃないもんっ！｣
｢サイコパスな人は、自分はサイコパスじゃないと言う。
怒らないから言ってみてと言う人も、確実に怒る。
バカな人は、自分がバカだと自覚していないんだよ。｣
｢何を真剣に語ってるのー？｣
｢純粋な目で見ないでっ！！！
私が変な人みたいでしょーがっ！！｣
色んな意味で危ないよ…
撃沈。
｢行ってきます…｣
｢頑張ってねー！｣
伸びた袖をフリフリして天真爛漫な笑顔で送ってくれた。
十四松兄さんのお陰で遅刻は免れた。
よっしゃ。
そして授業を受ける。
江川先生の邪魔を受けずに。
嬉しい。
…授業を妨害してくる先生なんて、
普通は居ないんだけどな。
フツーは。
…でも、いい子ちゃんではない私達は
コソコソと喋っている。
｢…ココは面積図を使い……｣
｢若武、ここって違う方法でも解けない？｣
｢俺、違う解き方で解いた。｣
｢Aに同感。
面積図よりずっと効率の良い方法あるだろ。｣
揃いも揃って、3人別解を考えていた。
真面目に授業受けろっ！
なんて思わないで。
お生憎様、そんな方とは気が合わないもので…
どうもすみません。
そしてチャイムが鳴ると同時に、
私達3人は先生の終わりの挨拶も待たずダッシュ。
特別クラスへGO！
…またまたいるじゃないか！
Cの人め！
そして、彩ちゃんがやってきた。
｢やぁ、アーヤ。遅かったね。｣
黒木の一言に私達は目がまんまるっ！
アーヤだとぉぉっ！
誰っ？！…いや分かるけど誰っ？！
｢……なんで知ってるの？……｣
｢〈あや〉とか〈あやこ〉って名前の子は、
大抵アーヤとかあっちゃんとか呼ばれてるからね。｣
なるほど、賭けに出たのか。
チャレンジャー黒木め。
可愛い
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作者名：イチゴミルクティ。 | 作成日時：2021年3月16日 20時
