初めての電話1 ページ15
「うわっ」
閉じて、暗転したはずのスマホはいきなり、LINE電話の着信音と共に明るい光を放った。
びっくりしてソファの上に電話を落としたものの、電話をかけてきた相手の名前を見て、すぐに出ざるをえなかった。
宏規くんだった。
こんなタイミングあるのか……と震える手を抑えながら通話マークを押し、「はい」と言うと、『夜遅くにごめん！』という声が聞こえた。紛れもない、宏規くんの声だ。
「え、いや！全然大丈夫だけど……なにかあった？」
『今、テニミュやってるんやけど、見に来る予定ないよね？東京凱旋公演があるんやけど、予定が合ったらでええから、その、よかったら観に来てほしいなーって…』
それは、中々に衝撃的なお誘いだった。推しに来てほしいって言われるのって、そりゃあファンだから、宣伝なら言われても普通だけど、まさか直接言われることなんて、そう無い。でも、なんで私に？私なんかに頼まんでも、来てくれるファンはたくさんおるやろ。
因みに、観に行く予定はない。観に行きたいとは、思ってたけど。
「え、行きたい！多分、千秋楽の前日が空いてるんだけど、うちの事務所に言っとくね」
『いや、俺が来てって言ったし、俺が事務所に言ってチケットもらっとくから大丈夫！あ、でもギリギリになると思うから、用意してもらったら家に送りますわ』
「そんな、何から何までありがとう」と伝えると、『いやほんと、大丈夫だから。頼んでるのこっちだし』と返した。彼は素直だからか、意外としっかりしてる。
『あ、今は紙とペンないから、あとでLINEに住所送っといて』
「ん、りょーかいです」
『あ、そういえば』と彼は付け加え、『敬語抜けたね』と言った。「まあ、自分から言っといて自分が敬語とか意味わからんからねー。未だに宏規くんと喋ったりするのに緊張はするんだけど、でもがんばった」と返せば、「確かに。まあ、がんばらなくてもええけど。えらいえらい」と優しく返される。いつの間にか、落ち込んでる気持ちはどこかへ行ったようだった。
「本当は、さっきまでへこんでたんだけど、宏規くんが丁度連絡くれたから、元気出た。なんか、ありがとう」
少し、照れくさかったが、そうお礼を言うと、『ええ、なんかあったん？まあ、俺なんもしてないけど、よかった』と、嬉しそうに返してくれた。
彼はとにかく、感情が伝わりやすい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 142人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよこまめ(プロフ) - 晴菜さん» ありがとうございます！長らく更新せずにすみませんでした……溜めていたのでバンバン更新(多分)します！ (2019年10月25日 22時) (
レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年10月21日 0時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - 木綿さん» コメントありがとうございます！最近暇なので……(本当は試験が迫っている)きまぐれ更新ですが、付き合っていただけてありがたいです (2019年10月13日 5時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
木綿 - たくさん更新嬉しいです！！続きドキドキです〜〜 (2019年10月13日 1時) (レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ひよこまめ(プロフ) - ゆさん» コメントありがとうございます！最近更新が滞っているのでどんな文句が…とビクビクしてコメント見ました笑とても暖かいお言葉、ありがとうございます。 (2019年10月6日 0時) (レス) id: dfe9b86821 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひよこまめ x他1人 | 作成日時：2019年8月27日 4時
