未来の旦那様(1) ページ21
*
万事屋での生活が初日を迎える。
ーーとは言うものの。
「誰も起きてこない…」
お世話になるからといつもより早起きして朝ご飯を作ってみたのにーー
溜息を吐くと、定春が匂いに釣られて腰を上げ、擦り寄ってくる。
嗚呼、なんて愛らしい。
「ご主人様を起こして来ようかしらね」
定春のもふもふした頭を存分に撫で回し、万事屋の主が眠っている襖をそっと開ける。
気持ち良さそうに、布団にすっぽりと収まり眠っている銀時。
あんないい加減な性格なのに、寝相は悪くないらしい。
(…黙ってると良い男なんだけどなぁ)
あ、あと目を閉じてるとより一層男前。
銀時の寝床に詰め寄り、そんなことを心で叫んでじっとその寝顔を見つめる。
すると私の心の声が届いたのか、瞼がゆっくりと開き、互いの目線が交差する。
「あら、お目覚めですか?ご主人様」
そう言って目の前の彼ににっこりと微笑んだ。
そんな主は、ピタリと動作を止めて瞬きを繰り返す。
しばらく何かを考えた素振りを見せると、体勢を逆転させ頭を布団で覆い尽くした。
(オイィィ!誰だよ起き抜けに好きな女の顔なんてドッキリしかけやがったのはァァ!!畜生、こんなことならストレートパーマしてマシな顔作っときゃよかったぜ。おかげで身も心も丸裸じゃねぇか!!)
「ちょっと銀時、もう八時よ?起きなさい!」
「うるせェェ!!こっちは朝からてんてこ舞い状態なんだよ!大体召使い気取ってんなら俺の息子を奉仕ーー」
ドスッ
大きな地響きが万事屋の家屋を揺らした。
右ストレートを銀時の顔面に綺麗にお見舞いし、尚も拳をグリグリとめり込ませる。
「朝っぱらから下ネタ喚いてんじゃねーよ、変態。未成年がこれ見てたらどうすんだコラ」
「…お前、いよいよ妙に似てきたな」
朝ご飯出来てるから、五秒で着替えておいでね☆
銀時の重度の負傷に目もくれず、無理難題を究極に可愛く言い残してその場を後にする。
すると、居間の引き戸の音が耳を付いた。
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宇治(プロフ) - 風寧さん» 風寧さん、こんにちは!宇治です。二度もコメントありがとうございます、嬉しいと言ってもらえてやる気滾ります。期待に応えられるよう頑張りますね!!これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 18時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - アガシャさん» 初めまして、宇治です。コメントありがとうございます。話数もだいぶ迫ってきましたので、続編という形を取らせていただきました。頑張ります…!今後ともよろしくお願いします。 (2019年4月2日 17時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - 以前コメントさせて頂いた者です。続編のお知らせ、本当に嬉しいです!楽しみに待ってます! (2019年4月2日 1時) (レス) id: 56908df3cc (このIDを非表示/違反報告)
アガシャ - 続編ですか!嬉しいです!頑張って下さい! (2019年4月1日 14時) (レス) id: a554153f5f (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - 蓬さん» 初めまして、宇治です。嬉しいお言葉ありがとうございます。そう言ってもらえると、すこぶる執筆意欲が湧きます…!!今後の展開にご期待いただければ幸いです。ありがとうございました。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇治 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時:2019年1月20日 14時