宇宙の喧嘩師 ページ27
*
真選組と剣を交えたその日。
床に着き、夢へといざなったのはAだった。
目が覚め、あいつの声が聞こえなくなったとき。
あいつの笑顔が消えたとき。
ーー嗚呼、醒めなければ良かったのに。
なんて後悔の波が押し寄せた。
「…フッ。いよいよ俺もアイツが側にいねぇと落ち着かねェらしいな」
「失礼します、晋助様。朝食持ってきましたッス」
夢現の余韻に入った来島の声。
「入れ」と二つ返事を返し、戸の音と同時に目を移せば、動揺に瞳が揺れる来島の相好。
「晋助様、その傷…!」
「掠っただけだ。大した傷じゃねェ」
やりあった時に取れてしまった包帯。
露わになった左目のその目元には軽い切り傷が刻まれた。
真選組にこうも簡単に見つかるたァ思わなかったが、ドジ踏んで傷を作っちまうとは、俺も落ちぶれたモンだ。
「…またAという女ッスか」
俯向き気味でAの名を出す来島に睨みを利かす。
「てめぇには関係ねェ話だ」
「党首の身を案じるのは、部下にとっては当然の事ッス」
「私情に口を挟むな」
「でもーー」
「お楽しみのところ邪魔するよ」
陽気な口調と共にひょっこりと視界に入った声の主。
「やあ、シンスケ。爽快な朝だネ」
そこにはチャームポイントの三つ編みと場違いな笑顔で手をヒラヒラと振るいつぞやの提督の姿。
その傍にいた万斉にこの現状を問いかける。
「…どういう状況だ、万斉」
「拙者にとっても想定外の展開でござる」
「実はサ、少しの間だけこの船に住まわせてもらう許可を取りに来たんだ」
戯言と同時に耳に入った轟音。
おそらく春雨の船だろうと勘繰り、面倒な状況に舌を打った。
「ーー生憎、今の俺は虫の居所が悪くてなァ」
「まあまあ、そう目くじらを立てないでよ。シンスケに迷惑はかけないからサ」
「信用に足らねェ言葉だな」
「だったら今ここで同盟の盃を交わす?」
無茶振りの無理難題を作り笑顔で淡々と述べる神威。
理屈が通じないバカ提督だとは思っていたが、ここまでとはな。
「…勝手にしろ」
「さすが鬼兵隊総督、話が早いね。少しの間、よろしくシンスケ」
ーー本能に実直なバカでも、利用価値はある。
大船に乗ったからには、客人は相応の対価を支払ってもらわねェとな。
「 宇宙の喧嘩師 」
(期待してるぜ、春雨のバカ提督さんよ)
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宇治(プロフ) - 風寧さん» 風寧さん、こんにちは!宇治です。二度もコメントありがとうございます、嬉しいと言ってもらえてやる気滾ります。期待に応えられるよう頑張りますね!!これからもよろしくお願いします。 (2019年4月2日 18時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - アガシャさん» 初めまして、宇治です。コメントありがとうございます。話数もだいぶ迫ってきましたので、続編という形を取らせていただきました。頑張ります…!今後ともよろしくお願いします。 (2019年4月2日 17時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
風寧 - 以前コメントさせて頂いた者です。続編のお知らせ、本当に嬉しいです!楽しみに待ってます! (2019年4月2日 1時) (レス) id: 56908df3cc (このIDを非表示/違反報告)
アガシャ - 続編ですか!嬉しいです!頑張って下さい! (2019年4月1日 14時) (レス) id: a554153f5f (このIDを非表示/違反報告)
宇治(プロフ) - 蓬さん» 初めまして、宇治です。嬉しいお言葉ありがとうございます。そう言ってもらえると、すこぶる執筆意欲が湧きます…!!今後の展開にご期待いただければ幸いです。ありがとうございました。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: c046a70699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇治 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時:2019年1月20日 14時