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買われた 6 ページ8

『ん………』




 パチリと重たい瞼を開けて、視界の情報を脳内に送り付ける。

綺麗に並べられた小物と、飾られた写真立てや本。とても清潔感のある部屋。とても私の部屋じゃない。




それに……





『………。』




 ギチリと固められた腕と、逞しい胸筋がピッタリくっ付いている。……そうだ、思い出した。昨日泉さんに買われたんだ。

……っていうか。


『起きてください…!泉さん!』


 いやずっとこの体制で寝てたのか、私たち。

体に腕が鎖のように巻きついて身動き1つ取れない。朝から難関が出題のようだ。
呼びかけるものの、ピクリとも動かない泉さんに諦めのため息をつく。



『…………』



 私、泉さんが起きるまでこのままなの…?



『つら。』



 そう呟いて、また瞼を閉じようとした。







…ベロり…。



『ひゃあっ!!??』

「!?」




 
 急所の耳に、生温い感覚のものが通り思わず悲鳴をあげて暴れれば、びっくりして起きた泉さんが解放する。

私は涙目になりながらも耳を抑え、息をつき思いっきり睨んだ。



『耳はやめてください!!!!』



 朝イチに、とても大きい遠吠えである。









「ちょっと、拗ねるのもいい加減にしな」



 泉さんに頼まれ、渋々台所に立って料理をする。その隣に並ぶ泉さんは優秀なお手伝い。
なのだが…。

私は壮大に拗ねていた。



『突然耳舐めてきたと思ったら、”出来心”なんて馬鹿げたこと言われたら誰でも怒りますよ』

「だぁかぁら、寝惚けてたんだからしかたないでしょ。平常心なんて元皿ないわけなの。

っていうか、俺あんたの事好きだから少しぐらい味見いいでしょ」



 そう言われたら返答に、思わず味噌汁をかき混ぜる手が一瞬止まる。


あ、そっか。






私の事好きだとかいう人と居候なうって結構あれだな。



『…………あの、確認なんですけど』

「ん?」

『……手、出したりとかしませんよね?少なからず信じてますよ』



 恐る恐る聞くと、泉さんはニコリと笑った。





「約束はできないかなぁ。」

『…は』



 「そりゃ俺も男だから」と、呟きながら呆然とする私に、甘い1つのキスを送る。ベロリと唇を舐められて、言い表せない物がぞくりと背筋に走った。

…一瞬の、触れるだけのキス。
…それ、なのに…。



『……っ…アウト、です…!!!』





 頭が混乱して、泉さんも大笑いするほど馬鹿げた声を出したのだった。

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紅茶 - めっちゃ良いです!こんな小説まってましたっ!是非続きが読みたいです、これからも頑張ってくださいヾ(*・ω・*)ノ (2019年10月13日 20時) (レス) id: dc12212b23 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ - こんな神作品初めて見ました!!ヤバイくらいに面白いので、これからも更新頑張ってください!!!!! (2019年9月27日 11時) (レス) id: aed030ecf9 (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - ななさん» コメントありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しい限りです!ご期待に添えられるように頑張ります! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
黒。 - お菓子なこいしさん» ありがとうございます!更新頑張りますね! (2019年9月13日 20時) (レス) id: d8cf0890ba (このIDを非表示/違反報告)
なな(プロフ) - 神っすね!ヤバイですよこの作品!更新楽しみにしています! (2019年9月10日 0時) (レス) id: cda48c16bf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒。 | 作成日時:2019年8月24日 18時

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