大好きな人 ページ13
「ごめんなさいっ、なぜだか、すごく懐かしくて…」
その言葉に頭が真っ白になった。
え……思い出しかけてる……よね!?!?
私が引き金になっちゃった!?
驚いて固まっていると千寿郎君が目元を手で拭い始めたから、慌ててハンカチを取り出した。
「拭うと赤くなっちゃうから、これ良かったら使って」
千寿郎君は私を数秒見つめて、それから我に返ったようにコクコク頷いてハンカチを手に取った。
ぐふぉ…!!!
涙でうるうるした瞳とちょっぴり赤い鼻、そして八の字眉……全てが私の庇護欲を引きずり出す。
千寿郎君可愛い、かわいいかわいいかわいい!!!
元々前世でも私は彼に惚れ込んでいた。
休暇があれば煉獄家へお邪魔したし、手紙も定期的に欠かさず送った。
本気で一生傍に寄り添って、千寿郎君を害するありとあらゆるモノから守ってあげたいと考えていた。
「落ち着いた?」
「はい…」
安心するように、にっこり笑って千寿郎君の頭を撫でる。
鼻だけじゃなく、少しほっぺたも赤くなった。
可愛い、可愛いなあ…。
「あの、どこかでお会いしたことありますか?」
真っ直ぐに訊かれた。
すぐに答えようとしたけど、少し迷った。
今世の千寿郎君とは初対面なんだから、『会ったことないよ』で正しいのだ。
けどそれを口に出そうとすると、私が憶えている千寿郎君との思い出とか、想い、とかが急に心の奥で沈んで重くなった。
苦しくて、私まで泣きそうになってしまう。
目をぎゅっと閉じて、首を横に振った。
「……そうですか」
千寿郎君は頷いて、それきり何も言わなかった。
詮索しないの、ありがたいな。
私もしばらく俯いて何も言わなかったが、大事な事を思い出して顔を上げた。
「電話!」
「え」
「スマホ貸そうか!?」
千寿郎君は突然すぎて一瞬きょとんとしたけど、その後勢いよく叫んだ。
「か、貸してください!」
「あたぼーよ!」
私はサムズアップしてスマホを差し出した。
△
「ありがとうございました」
千寿郎君は綺麗な45度でお辞儀をした。
「いえいえ、こちらこそ」
久しぶりの千寿郎君癒されたわあ…。
また明日から学校頑張れるよおおおおおおお!!
「そういえばお迎えは誰が来るの?」
前世と家族構成が同じなら、瑠火さんに会ってみたいな…。
千寿郎君は笑顔で教えてくれた。
「兄が来ます!」
え。
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彩羽_Iroha.(プロフ) - 雛子さん» そうだったのですね…!教えて頂きありがとうございます!これからも応援しています!良かったら仲良くさせていただけませんか…?m(*_ _)m (2019年11月5日 0時) (レス) id: 5b9a02ba17 (このIDを非表示/違反報告)
雛子(プロフ) - 彩羽_Iroha.さん» ありがとうございます!背景画像の水玉模様のことでしょうか??デザイン設定の背景画像で選んでます!これは2ページ目にあります〜 (2019年11月4日 18時) (レス) id: 3004313f3e (このIDを非表示/違反報告)
彩羽_Iroha.(プロフ) - こんにちは!はじめましてです。内容も最高でした、やっぱりキメツ学園いいなあ〜。ちなみになんですけど、背景のやつってどうやってますか、? (2019年11月1日 23時) (レス) id: 5b9a02ba17 (このIDを非表示/違反報告)
雛子(プロフ) - 鬼滅Loveさん» 笑ってくださって嬉しいです(照)頑張ります!! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 3004313f3e (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅Love - え?なんですか?最高すぎません?笑いすぎてお腹痛いです!続きが早く見たいです!頑張ってください。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 001f58aed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛子 | 作成日時:2019年8月7日 16時