ひなげし ページ28
▽
義勇が女の子を連れて、狭霧山に帰ってきた。
鱗滝さんに会って、最初に義勇はこう言った。
「先生、俺の継子です」
「違います」
即座に言葉を否定する女の子に拍子抜けした。
女の子は義勇をキッと睨みつけて、鱗滝さんに向かって真面目な顔で挨拶した。
「私は環です。鬼殺隊の一隊士です」
水柱様の継子ではありません、と念を押して否定した。
なんだ、てっきり義勇のお嫁さんかと思ったのに残念だなあ。
「けどあの二人お似合いだよね」
隣に居た錆兎の顔を覗き込んだ。
錆兎は返事をせずに、じっと三人の方を見ていた。
「錆兎?」
名前を呼ぶと、こっちを見た。
「なんだ?」
「あの二人お似合いだよね」
にっこり笑って同じ事を言った。
すると錆兎はもう一度三人の方へ視線を向けた。
数秒経ってから呟いた。
「……そうだな」
んー?なんだかぼんやりしている。
あ、義勇と仲良かったから女の子と義勇が感慨深いのかも。
私も女の子を見る。
ぱっと目を引く華やかさは見えない。
けど飾りっけのない笑顔が好ましい。
うん。本当にお似合いだ。
ぜひ義勇と夫婦になってほしい。
「ひなげしの花みたいな子だね…」
ぼんやり呟いた。
「ひなげし」
はっきりと錆兎が繰り返した。
そして錆兎は小さく笑った。
「その通りだな」
「あんなに愛らしい女性を初めて見た……義勇は幸せ者だな」
それだけ言って錆兎は山の奥に戻ってしまった。
思いがけない言葉に目を見開く。
「ふふ、ははは!」
錆兎が見えなくなると、不思議と笑顔が弾けた。
だって錆兎、耳まで真っ赤だった。
もしかすると……いや。
「私たち、触れる事も話す事も出来ないからね」
でも私も出来るなら一回話してみたかったな。
寂しさを紛らわすように錆兎を追いかけた。
△
「連絡先を交換しない?」
鱗滝さんにお礼を言って、家を出ようとした時に真菰ちゃんに声をかけられた。
「いいよー」
私も真菰ちゃんともっと話したかったんだー!!
ニマニマしながら交換した。
「またね、A」
「うん!またね真菰ちゃん!!」
ブンブン手を振って、鱗滝家を出た。
.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.
小説の題名をひなげしにするか今のにするかで結構悩みました。
けど環さんはひなげしみたいな女の子のつもりでずっと書いてます。はい。(余談)
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彩羽_Iroha.(プロフ) - 雛子さん» そうだったのですね…!教えて頂きありがとうございます!これからも応援しています!良かったら仲良くさせていただけませんか…?m(*_ _)m (2019年11月5日 0時) (レス) id: 5b9a02ba17 (このIDを非表示/違反報告)
雛子(プロフ) - 彩羽_Iroha.さん» ありがとうございます!背景画像の水玉模様のことでしょうか??デザイン設定の背景画像で選んでます!これは2ページ目にあります〜 (2019年11月4日 18時) (レス) id: 3004313f3e (このIDを非表示/違反報告)
彩羽_Iroha.(プロフ) - こんにちは!はじめましてです。内容も最高でした、やっぱりキメツ学園いいなあ〜。ちなみになんですけど、背景のやつってどうやってますか、? (2019年11月1日 23時) (レス) id: 5b9a02ba17 (このIDを非表示/違反報告)
雛子(プロフ) - 鬼滅Loveさん» 笑ってくださって嬉しいです(照)頑張ります!! (2019年9月2日 23時) (レス) id: 3004313f3e (このIDを非表示/違反報告)
鬼滅Love - え?なんですか?最高すぎません?笑いすぎてお腹痛いです!続きが早く見たいです!頑張ってください。 (2019年9月1日 23時) (レス) id: 001f58aed0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雛子 | 作成日時:2019年8月7日 16時