銀魂 【不死蝶の舞姫】3

第百十四訓 ページ16

Aside





「ちょっ！！？」


私を抱き直し、視界が彼のマントで覆われる。ドンっと耳をついたのは乱暴に扉を蹴り破る音だった。
視界が見えないからわからないけど、走っているのか衝撃が伝わる。そして、時々聞こえる悲鳴。



「ちょ、神威！？一体何してッ 」

神威「俺さ、この艦隊仕切ってる奴元々嫌いなんだよね…ェッ ！！！」



──「お、おまえは夜っ…ギャァァァァ‼︎‼︎」

グジャっと肉を潰す音と、上がる甲高い悲鳴。刀で斬るよりも生々しい音に、ひんやりと背筋が冷えた。



神威「今回は逃してあげる！自分で追いかけて手に入れた方が…格別だし、ねｯ！！！」



動く度に揺れるマントの隙間から見える、持っている傘で天人の腹を突き刺す瞬間が。

神威にとってコイツらはなんなの？
私の事もロン毛から聞いたって言ってた。それにコレクションにされる事まで。──…私は神威に問いかける



「神威は私の敵、なの？それとも…」

神威「俺は…"宇宙海賊春雨 第七師団団長 神威"」

「！！」

神威「不死蝶さんの敵だよ♪」



固く握った拳で天人を吹き飛ばす。
アンタの仲間に渡すはずの私を助けたりなんかしたら…神威の立場が悪くなるじゃないの？敵だと言った神威を心配してしまうのは…

──『人とは少し違うだけ、俺と同じだよ。大丈夫、怖くない』
私にかけてくれた声が、優しかったから。


一本道の通路を疾風の如く突き進む神威。外へと続く出口が見えて、鼻先で潮の香りを感じた時、神威から表現が消えた。




神威「………」



立ち止まり、来た道を振り返る神威は暗い通路を黙って見つめる。その不可解な行動に「神威？」と私が名前を呼べば視線を外さないまま口角を上げ



「…くる！！」


楽そうに、呟いた。


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