第百二十九訓 ページ31
Aside
「ありがとう…ございました」
桂「ッ …あ、頭を上げてくれ!俺はお前に、頭を下げてもらいたいわけでは…っ」
「……ふふ、やっぱり貴方は優しい人」
桂「なっ」
「敵である私にも、気遣ってくれるんだから」
笑みを浮かべ、顔を上げる。小太郎の顔が徐々に林檎みたいに真っ赤に染まる姿は、昔とちっとも変わらない。
「どうして私達は敵同士なんでしょうかね?…同じようにこの国が好きなのに」
小太郎が誰よりも優しいのを知っている。
困っている人が居れば見過ごせないし、凄く真面目で、人一倍責任感が強くて。
何も言わず気づけば側に居てくれる。お父さんしか居ない私にとって小太郎はお兄ちゃんと言うよりお母さんみたいで…そんな小太郎が、大好きだから。
「もっと…違う方法で、貴方と会いたかったッ」
桂「──ッ」
「そしたら、こんな悲しい気持ちにならずに済んだのに…ッ」
笑みを消し、下唇を噛み締める。──…昔みたいに、笑い合いたかった。滲みむ視界、重力に逆らえず溢れた涙がアスファルトに吸い込まれるのを見つめる。
「…うぅ…っ」
何度も何度も擦り拭うけど、涙は止まってくれなかった。代わりに漏れる嗚咽。
隠し通すって決め筈なのに、"小太郎"って名前を呼びたい。助けてくれてありがとう、会えて嬉しいと伝えたい。敵では無く友として
銀時
小太郎
晋助
四人でまた過ごしたいよ…。
どうして…ねぇ、どうして私達は敵同士なの?
「……こんなの…ッ 悲しすぎるよ…」
無意識に漏れ出た本音。ずっと変わらないと思っていた私達の関係は随分と変わってしまった。
あの頃みたいに笑い合えないんだと、笑い合うなんて許されない私達の今の関係に、心臓が握り潰されたみたいに苦しくなった。
桂「……そんなに強く擦っては目が腫れる」
何度も擦り続ける手を包み込む体温に、ハッとして顔を上げる。困った顔で笑う小太郎は私の涙を優しい手付きで拭い取った。
桂「お前が、俺の為に泣く必要なんてない。だか…お前の言葉は胸に染みた。"A"…ありがとう」
私の頭を数回撫でると目の前から小太郎が消える。いつの間にかコンテナの上に立っている小太郎は、…泣きそうに私を見て、笑っていた。
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うさきよ - 面白いです‼ (9月1日 1時) (レス) @page42 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 砕けちゃいかんでしょう(笑)それから、本当に更新してくださりありがとうございます! もう一度最初から読ませていただいたのですが・・・やっぱりこの作品が大好きです! これからも頑張ってください (2022年8月24日 17時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - konさん» kon様コメント有り難う御座います。幸せです。うぅー(泣)優しいお言葉ありがたい(´;Д;`)目から汗が…。沢山妄想はしてるのですが…なかなか文字に起こさなくなってしまって。書いて消してを繰り返してました。でも、これからは当たって砕けろで更新します!(笑) (2022年8月24日 1時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 一気読みさせていただきました! すっごく面白くて最高です!! 本当に毎日更新なんていいません、どうかお体に気をつけて更新頑張ってください! (2022年6月21日 16時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - れいさん» おぉぉお!!コメントありがとございます😭そーなんです、ぼちぼち明かして行こうと思ってますッ!!応援よろしくお願いします🙇♀️ (2022年6月19日 0時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2022年5月17日 19時