【◇】I like you

好きな人 ページ5

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「……雨降ってる…」



珍しく部活がなくて、はやく帰れる日



雛は委員会があるらしく、一緒に帰れない



「……どうしよう」


御「……杠葉？」



外に出られなくて佇む私に声をかけてくれたのは_____




「み、御幸くん…！」


御「どうしたんだよ、突っ立って」


「傘忘れちゃって…どうしよっかなぁって」



あはは、と笑う



だけど、私の心の中は緊張でどうにかなりそう



「…御幸くんは？野球部って寮じゃなかったっけ？」


御「最近、野球部風邪が流行してるから練習がないんだよ」


「そうなんだ…」



そう答えて黙ってしまう



…何を話せばいいんだろう



必死に話す内容を探す



「み、御幸くんって、さ」


御「ん？」


「好きな人とかって…いるの？」



そう言って後悔した



あまり喋った事もないのにいきなりそんな事を言われて、御幸くんもびっくりしてるだろう



御「……いるよ」



外を見て、ふ、と微笑む御幸くんに心がズキっと痛む



「あ、……そうなんだ」


御「なんでそんな事聞くの？」


「え？……御幸くんってモテるから、き、気になって…」



慌てて作った苦しい言い訳



気づかれたかな…それに、御幸くんの好きな人って誰なんだろう…



御幸くんに好かれるなんて、その子はどんなに良い子なのかな…



御「杠葉はいるの？」


「え？」


御「好きな人」


「あ、……うん、いるよ」



_____目の前に



その言葉は飲み込んだ



御「…ふーん」



ダメだ。余計に気まずくなってしまった



「ぁ……雨止んできたし、私帰るね…！」



雨はまだ降っているけれど、さっきよりは小雨になった



御「まだ降ってるけど…」


「じゃ、じゃあね！！」



早くその場から逃げ出したくて、全力で走った







分かってる、分かってるんだよ







御幸くんの好きな人は私じゃないって







それでも、私だったらいいなって心が期待してしまう









ねぇ、御幸くん









…君が私以外の人を好きでも、私は君を好いていていいですか…？

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