【ハリポタ】胡蝶の夢を見る7 (ページ10)

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ハリーはごくりと喉を鳴らし、慎重に頷いた。

私は指の上で指輪を転がし、光を反射し鈍く輝く指輪を眺める。死人の指輪を奪い身につけるのは気が引けるが、私の指輪がないのだから仕方がない。

ずっと他人の意識を垣間見て、コントロールもできないこの魔力をいつ暴走させるのか怯えながら過ごすのは嫌だ。

私はゆっくりと、その銀の指輪を人差し指にはめた。
得に何も感じないが効果はあるのだろうか。

「たぶん、これで……私はもう能力を使えなくなるはずなんだ。」

ハリーはよく分からないお伽話でも聞いているような、不思議そうな顔でそれを見ていた。

「…これでもう、誰の記憶も感情も盗み見たりしない…はず。」

ぎゅっと指を握る。

私の力で事件が解決したのなら、それは嬉しいことだけど……やっぱり誰かの…友達の見たくない一面や感情を、勝手に知ることはない。

ただの不思議な夢だと思っていたものが、どこかの誰かの現実なんだと知ってから、毎回、夢から目が覚めるとどう表現していいのか分かない罪悪感でいっぱいだった。

そんな朝を迎えることはもうないんだ…

「僕、別に君のその力が気持ち悪いなんて思わないよ。」

気を使ったのか、ハリーがそう言い出した。

「気持ち悪いもん。私だったら嫌だもん。人が考えてることとか、自分のことのように分かっちゃうんだよ。私以外の人が私になるの…それって本当にきもいでしょ？」

「で、でも…」

ハリーは慌てて声を張り上げた。

「そのおかげで僕、いつも命を救われたんだ。去年も、今回も……君がいなかったら、僕、きっともう死んでた。」

ハリーは真剣な眼差しで私の目を見た。

「本心だよ。」

「ハリー…」

私は堪らなくなってハリーに抱きつく。

「ハリーって…本当にいい人だね。本当に…ありがとうハリー。」

「あっ…え、A…」

私は全力でハリーを抱きしめる。
私のこの力を…私が恨んだ私を、ハリーは受け入れてくれるんだね。

「ハリー、夏休みにハリーのお家に遊びに行ってもいい？」

「えっ？！」

唐突に切り出した誘い。
ハリーは、これに一番驚いたようだった。

「家じゃなくても、どこかで会って遊ぼうよ。」

「でも……ダーズリー達がなんて言うか。」

「だったらこっそり会おう！ね、いいでしょ！」

私が必死で頼むと、ハリーは頷いた。
ハリーが身近にいると思うだけで、どんなに心強いだろう。

やっぱり、ハリーは特別だ。
どこか共通するものを感じるからか、最初の友達だからか。なぜか分からないけれど、ハリーは私の何より大事な友達。

…そう感じた。