【ハリポタ】胡蝶の夢を見る7 (ページ8)

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【16-8】ページ8

……

残りの日々はとても穏やかな日々だった。
もう、秘密の部屋の怪物に怯えて、ビクビクと廊下を歩く必要もない。

「ハリー、ちょっといい？」

生徒達も落ち着いて、すっかりホグワーツの日常が戻って来た頃。私はハリーに声をかけた。

「できれば二人きりで。」

グリフィンドールのテーブルで話をしているいつもの3人組に声をかけると、ロンとハーマイオニーは顔を見合わせた。

ハリーにはすぐ、この前の事件の話だとピンと来たらしい。頷いて腰を上げた。

「中庭に行こう。今の時間なら他に人が居ないはずだから。」

「うん、わかった。」

…

「…何から話せばいいかな。」

季節はすっかり夏。
焼けるような暑さの中、私たちは日陰になっている庭に隅っこに腰を下ろした。

私は杖を振って、声が誰かに盗み聞きされないようにする。

「…あのね、私はレーヴの生き残りなんだ。」

生き残った男の子。
ハリーがその運命を背負っているように、私にはレーヴの呪いがかかっている。

私は話した。
レーヴ家がヴォルデモートに皆殺しされ、そのうち一人残ったのが私だということ。

レーヴの血を受け継ぐものは、人の意識に入り込めるという特別な力と、底知れぬ独自の魔力を操ること。

一人残された私は、それらの扱い方を知らず、力をコントロールできないこと。

「私、実を言うとダイアゴン横丁でハリーに出会う前から、君のことを知ってたの。」

「え……？」

ハリーの目が見開き、じっと私を見る。
私はその瞳から目を逸らし、庭の隅に生えている草が風に揺れているのを眺めた。

「…私はずっと不思議な夢を見る…誰かどこかの他人に成り替わる夢。後になってそれがレーヴの力なんだって分かったけど、その時はまだ知らなかった。」

ハリー・ポッター。
その名前を知っていた。
その顔を知っていた。

もちろん当時は誰の名前か、顔か…何も分からなかったけど。

「……僕の夢を見たってこと？それってつまり…」

「ハリーの意識に入り込んだことがあるってこと。その夢は階段下の物置に居て、金髪の男の子…にいじめられて……そんな夢だった。これって現実なんでしょう？夢じゃなくて、あなたの現実。」

「ダドリーを知ってるの…？！僕、君に話したこと…」

「ないでしょう？なのに知ってるの、気持ち悪いでしょ？だから言えなかった。」

今思えば、ハーマイオニーのような人の意識に入り込んだこともあるし、あの時見た夢は…ロンだったのかもしれない。