【ハリポタ】胡蝶の夢を見る7 (ページ1)

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【16-1】知ってたページ1

スネイプ先生の顔を覗くが、髪が邪魔して表情は見えなかった。…ただその強い腕の力で、何となく心配かけたのだろうと察する。

「先生。」

私は彼を安心させるために恐る恐る先生に手を回した。同時に、急に指が震え始めた…安心したかったのは私の方だったらしい。

ずっと抑えていた恐怖、感覚が麻痺して微塵も感じていなかった恐怖が襲いかかる。

大きなバジリスク。
ヴォルデモートことトム・リドル。
秘密の部屋は血だらけで、ハリーは死にかけた。

それにこの得体の知れない白骨。
レーヴの末路。

今まではなぜ平然と出来たのか疑問に思う。
こんなに恐ろしいこと…ないのに。

もしかしたら、私が死んでいたかもしれない。
ハリーがバジリスクを倒せなかったら…
そもそもハリーが来なかったら…

「ごめんなさい先生…」

ぎゅっと腕に力を込め、先生の胸にしがみつく。
去年クリスマスに私が送ったポプリの香りが、先生のローブから微かに香るのに気がついた。

ああ…ずっと使ってくれてるんだ。
じわっと胸の奥が暖かくなる。

「なぜ一人で……」

「…どうしても気になって。」

「我輩を呼べばよかったであろう？」

先生は私をゆっくりと離し、じっと私を見た。その表情はいつも通りのようにも見えるけど、明らかに瞳が動揺していた。こんなに先生が心配していたとは…思ってなかった。申し訳なさで居心地が悪い。

「その血は？怪我をしたのか？」

先生は青白い手で、私の頬を擦った。

「鼻をぶつけて…」

先生はポケットからハンカチを取り出すと、私の顔を拭って汚れを拭き取った。その時、スネイプ先生の背後に遅れてハリーたちがやってくるのが見えた。

「何か見つけたのかね？」

顔を出すなり、ダンブルドア先生が言った。
私は慌てて目の縁の涙を擦って背筋を伸ばす。

「はい…誰かの棺を。」

私は握りしめていた指輪をポケットにこっそりと入れた。

「ほう……こんな場所がホグワーツにあるとは、まだまだわしの知らぬこともあるようじゃな。」

ダンブルドアは部屋をぐるりと見回した後、再び私を見た。

「その棺に入っているのは誰じゃろうか？」

「…恐らくレーヴの人間かと。」

ハリーの不思議そうな顔。
もう少し待って欲しい、ハリーには全てを話すから。

「さあ、二人に話を聞きたい人達が待っておる。」

私はもう一度棺に視線を向ける。
もう少し調べたかったけど…私の手を引っ張るスネイプ先生に従って、私はその部屋……秘密の部屋を後にした。