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対処法118 ページ27

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最初は勢いよくベラベラ回っていた口が、後半になるにつれて鉛の様に重くなってきた。眉間が痺れて、何故だか涙が出そうになる。


ヒカリがスコッチだったことの恥ずかしさと、どうにか引き留めなければという焦りで思わず口走ってしまったが、果たしてこれは良かったのだろうか。


緑川景光という人は、自分の命を全部集めてその任務を全うした人だと知っているのに。自分の使命を抱えたまま、その左胸を血で濡らした人だと知っているのに。

そんな私が、彼を軽い気持ちで引き留める様な真似をしていいのだろうか。

しかも、死んでしまったあとまで苦しんでほしくないなんて、エゴイズムの塊の様な理由で。


眉間がずしりと重くなるので、歯を喰い縛って堪える。大好きな物語だけど、漫画の中のお話だけど、ここはフィクションじゃない。お話か現実かが変わっただけで、彼が死んだという事実がとても重たくなる。

だから泣くのは失礼だと思った。漫画の中の彼はもう死んでるので、それはきっと仕方がない。でも、でもどうして。


きっと、泣くのが、あと四年遅かった。



「‥‥なぁ」


ふってきた声に顔をあげると、静かな目でこちらを見るスコッチが見えた。ほの青くて明るい光が、じんわりと滲むような目をしている。

それがひととき瞬いて、スコッチは一瞬息を吸うように口を開いた。


「俺は‥‥‥‥わからない」

『‥‥‥‥なに、が』

「君がどうしてそこまでよくしてくれるのか」


一聞平坦な声色の最後に、嗚咽の様な音が混じった気がした。

「俺と君は赤の他人で、しかもいきなり部屋に現れた不審者で、言ってる事は訳のわからない事ばかりで‥‥普通は、そんな男にそんな提案はしない」

『‥‥』

「なぁ。どうしてなんだ? 俺には、あんなに優しい表情で、そんなに苦しそうな目で、見られる心当たりなんてない‥‥ないんだよ」

呻くような苦しそうな声が響いて、私の心臓がうるさく鳴り始めた。

心臓の音は心の音だ。私の焦りは鼓動に嫌な汗をかかせる。

だって、だってなんて言えばいいんだ。一応初対面の体の彼に。好きな漫画の登場人物だからなんて論外だ。確かに私が好きになった彼は漫画の登場人物だったが、この世界で生きている彼にそんな事を言えば、それは最早侮辱だ。

何処にも行かないで、とでも言えばいいのか。消えてしまわないで、と。


考えてもわからなかった。だって私にはその頭がなかったから。



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- 面白くて一気見した者です、もう更新されないんですね、この感じだと……。残念です (5月4日 12時) (レス) id: a4dff3124d (このIDを非表示/違反報告)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時

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