紅い眼の陽炎

７話 人生万事塞爺が虎 ページ9

Aside

「＿＿！＿＿＿よ！」



耳の奥で聞きなれた声が聴こえる。


誰だろう…


ぼんやりとした頭で思う。

薄(うっす)ら『目』を開ける。



「＿＿＿！＿え、＿＿て！
起きてよ！A！」



名前を呼ばれてハッとする。
どうやら声を掛けて来ていたのはカノだったようだ。

其のカノの『目』には薄(うっす)ら涙が。



カノ「良かった…っ！
なかなか目を覚まさないから心配したんだよ…？
本当に、良かった…っ
Aちゃんが無事で…」



安堵感からかポロポロと大粒の涙を流すカノ。

流石に泣かれるのは一寸(ちょっと)心に来るのでゆっくり起き上がって
カノの頬に触れ、親指で其の涙を拭う。



貴「大丈夫、僕は生きてる。
大丈夫だから、泣かないで。

何時(いつ)もみたいにあの莫迦(ばか)みたいな笑顔を見せてよ。
僕は、居なくなったりしないから…ね？」



一寸微笑みかけて頸を態(わざ)とらしく傾げて見せる。

何故か其れを見て顔を赤らめてるけど大丈夫か、熱か？←



カノ「………っ！うん………うん！」



お前は子供かって云う位めっちゃ良い笑顔を浮かべるカノ。

なんか可愛らしい。←


まあカノの元気が元に戻ったところで、
携帯などの安否を確認するべく周りを見る。

コノハはすぐ其処で座ってるから平気、
カノも先刻迄(さっきまで)話してたから平気、
エネちゃんは＿＿＿。


と見るとなんとエネちゃん(榎本さん)の肉体が。

一瞬ﾀﾋ体かと思って吃驚(びっくり)した。←


そんなこんなで
肉体に戻ったエネちゃん＿＿基(もとい)榎本さんを交えて能力の確認をしつつ
雑談を繰り広げる。

すると、急にカノが後ろを見遣る。
それに釣られて僕たちも後ろを見る。


其処には、ドーンという効果音が付きそうな感じで立つ
三人の男性が居た。


取り敢えずコノハの後ろに隠れる。


如何して隠れるのか、と聞いてくるが
我の心ここに在らず。とでも云うように
華麗に聞き流す(スルーする)。

余り触れてこなかった辺り迚も有難かった。


すると向こうの白髪の彼が安否を確かめてくる。
応える気のない僕に代わって珍しく敬語を使って応えるカノ。

久しぶりだな、カノが敬語使ってるの。
いっつも莫迦みたいな笑顔で笑いながら巫山戯てるから。←


まあなんか相手不審そうにしてるけど。

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