紅い眼の陽炎

２９話 ヨコハマ ギヤングスタア パラダヰス ページ31

Aside

太宰「やるねえ。

じゃあ、国木田君は？」

国木田「止(よ)せ、俺の前職など如何(どう)でも──」



なんで身じろいでいるんだこの人。

そんなに嫌だったのかなあ…。


中島さんはうーん…と唸る。



敦「うーん……お役人さん？」

太宰「惜しい。
Aちゃんはどう思う？」


貴「えっ、私ですか。

学校の先生…とか」

太宰「おぉ、正解！
じゃあ、教科とかはどうかな」

貴「えぇっ、そんな無茶な…！

えー…っと……数学…とか…？」


国木田「な…っ！」

太宰「凄い！大正解だよ！

その通り、彼は元学校教諭だよ。
数学の先生」

敦「へえぇ！」

国木田「昔の話だ、思い出したくもない」



子供苦手なのかな…。

めっちゃ嫌そうな感じしてるけど…。


でもなんだか教卓に居る国木田さんが目に浮かぶ。

あ、でもこれ云ったら投げられる…ってかﾀﾋねる。



太宰「じゃ、私は？」

敦「太宰さんは……」



無理難題すぎませんか。

ニコッと愛想良く可愛らしく笑う太宰さんを見て
思考回路が可笑しくなりそうだ。


国木田「無駄だ小僧に小娘。

武装探偵社七不思議の一つなのだ、
此奴の前職は」

貴「へぇー……」



七不思議。
まるで学校の怪談。

そっちの方が気になってしまいます。



谷崎「最初に中てた人に賞金が有るンでしたっけ」

太宰「そうなんだよね。

誰も中てられなくて懸賞金が膨れあがってる」

国木田「俺は溢者(あぶれもの)の類だと思うが、
此奴は違うと云う。

然しこんな奴が真面(まとも)な勤め人だった筈がない」



めっちゃ云いますね国木田さん。

それを脆ともせずに珈琲をくるくる回してそのスプーンを
パクリと一口舐める彼は凄いと思う。


然しまあ…こんな彼が立派にお役所勤めなどするだろうか。

………答はいいえ(No)しか有り得ないだろうけど。


ふむ…。
然し逆に考えると…案外いけるかもしれない。

合ってるかは勿論定かではないが。


そんなことを考えているとずい…と食いつく隣の彼。


───無一文の中島敦。



敦「因みに懸賞金って如何(いか)ほど」

太宰「参加するかい？
賞典は今────」

─────
文字数もあるのでここでカット。

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