紅い眼の陽炎

２２話 或る爆弾 ページ24

Aside

そんな感じでじゃんけんに敗北した国木田さんは
爆弾魔の方に─舌打ちをしながらも─
交渉をしようと近づく。

落ち着け少年、と声を掛けるも、
来んなよこの野郎的な雰囲気で牽制され、
終いには起爆装置の釦に親指を置いて爆破するぞと
脅される。

遊戯終了(ゲームオーバー)……。

サッと両手を顔と同じ高さ迄上げて降参の姿勢を示す。



爆弾魔「知ってるぞ、アンタは国木田だ！

アンタもあの嫌味な『能力』とやらを使うんだろ！？
妙な素振りを見せたら皆道連れだ！」

貴「虚偽(ダウト)…」



成程ね…よく出来てるじゃないか。

然しこの状況はまずい。
彼─爆弾魔─は探偵社員の顔と名前を調査済みだ。


つまりは太宰さんが行っても逆効果…
警戒体制が強まるのみ。


ということは…と太宰さんを見るとニヤリと笑って
僕達を見ていた。

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敦「や、やややや、やめなさーい！
親御さんが泣いてるよ！」

貴「ふっ…そうですよ、おやめください」

爆弾魔「な、何だアンタらっ」



怖いからかビクッと肩を上下させて後ずさる中島さん。

まあこうなったのにも理由がありまして…。


社員が行けば犯人を刺激する。
これは太宰さんと僕の出した結論。

つまり、無関係で面の割れていない
中島さんや僕が行くほかない。


犯人の気を逸らす。
それが今出てきた僕達の役目である。

それにしてもまあ…落伍者の演技など中島さんにやらせて
いいのだろうか。

素で語り出す未来が見えるが、
まあ付き合って差し上げましょう。



敦「ぼぼ、僕は騒ぎを き、聞きつけた一般市民ですっ！
いい、生きてれば好いことあるよ！」

貴「因みに私は付き添いです」



まあ僕の出番なんて無いだろうけど
一応名乗っといて損は無いだろうね。



爆弾魔「誰だか知らないが無責任に云うな！
皆死ねば良いンだ！」

敦「ぼ、僕なんか孤児で家族も友達も居なくて
この前その院さえ追い出されて
行くあても伝手も無いんだ！」



くわっと熱弁を始める中島さん。

その気迫に押されてか内容の重さにか身じろぐ犯人。


うん、素だな。←


まあいいや。
この隙に人質の子を解放しましょう。



敦「虫ケラだって生きている！」

貴「ぷふっ」



人質解放中に聞こえてきたその言葉に吹き出してしまった。


ああ…素っていいなぁ…。←

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