紅い眼の陽炎

１３話 人生万事塞爺が虎 ページ15

Aside

そして、国木田さんによれば虎の被害は二週間前から
こっちに集中していて、四日前にも鶴見の辺りでの目撃証言もあるらしい。

若(も)し本当に『異能力』に"そういう"能力も有るのだとしたら、
彼は＿＿＿＿。



カノ「おーい、おーい！Aちゃん！」



カノが僕を呼んでいた。
お陰で現実の方に意識が戻った。



貴「な、なに？カノ」

カノ「矢っ張りなんか考えてたんだ。
なんか判ったの？」

貴音「なになに、Aの推理？

Aの推理って何度聞いても面白いから私好き」

コノハ「それに、Aの推理、だいたい中(あた)る…」



大絶賛されると恥ずかしいな。
というかそんなに凄いものでも褒めるものでも無いのに何故褒める。



貴「でもほら、これは探偵社の二人の仕事だからさ、
僕が正解出しちゃ駄目でしょ」



そっかぁ〜と莫迦とゲーマーは納得してくれたが、背後からの視線が痛い。

まあ、たぶん太宰さん。
太宰さんは屹度(きっと)荒事とか体術とかは全然だ。

なんか細いし包帯だらけだしひ弱そうだし。←


ただ、その代わりに頭が良いんだ。たぶんね。

つまり太宰さんに『目』をつけられた今、
物凄く拙い状況にあるということ。

というか、こんなに視線が来るとは思わなんだ。



太宰「ねえ敦君にAちゃんこれから暇〜？」



来た。絶対巻き込む気だ。

まあでも宿も頼れるところも無い今、『武装探偵社』に頼る他無い。


然しこの三人を如何するかが問題だ。
流石にたった一人の収入では稼ぎが少ない。

『武装探偵社』でなくともいいから何かバイトさせねばなるまい。

まあ、後でもいいか。


もう中島さんは応えたのか。
僕の顔の前で手をヒラヒラさせてる太宰さんが見える。



貴「……暇ですがなんでですか？」

太宰「あ、漸(や)っと応えてくれた。

虎探しを手伝ってくれないかな？」

貴「いいですよ別に。

宿を提供してくださるのなら」

太宰「あ、意外とあっさり…。

うん、任せ給えよ！」



カノたちになんで！？どうして！？と攻められるが
右から左に聞き流しながら僕たち四人分の料金を払う。

国木田さんそのことについてカノたちと一緒になって騒いでいたが
それも聞き流して太宰さんと中島さんと共に行く。

カノたちは国木田さんの手によって宿に強制連行されるそうだ。


どんまい、とだけ云って太宰さんの後を追った＿＿。

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