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伊作side


勇気を振り絞って僕は弥生さんに言った。






……けど…





…あれ……なんだかデートのお誘いをしてる…ような……



伊「……っ////」




自分で言った言葉を反復すればする程顔に熱が集中してさっき言った言葉を無かったことにしたくなる。



恥ずかしいけれど弥生さんの反応が気になって顔を上げると




『………』



弥生さんはしばらく目を大きくし瞬きをするともちろん!と花を咲かせるように微笑んだ。



『伊作君が居てくれたら百人力だわ!


 女っていう理由でたまに不自由な時があるし…』




一度意識してしまえば彼女の一言、一仕草ごとに鼓動が跳ねる。



2年前まで学園内ですれ違いざまに見かけて挨拶をする程度でどこか近寄り難かったけど、事務員になったのをきっかけに関わりを持つことが増えていって…



気がついたら弥生さんから目が離せなくなった。





あぁ、神様。



この幸せな時間が永遠に続くにはどうしたらいいですか?




僕にはまだ、彼女に気持ちを伝える勇気も魅力もないようです。







『___くん。



 伊作君?』





伊「え、あっ…いや…」



『ぼーっとしてるみたいだけど大丈夫?


 なんだか頬が赤いし……熱でもあるのかな?』




そう言って頬に弥生さんの少しひんやりとした手が伸びてくる。




伊「だ、大丈夫ですよ。



  味噌汁を飲んだから体があったまったみたいで…」





僕は精一杯平然を装って笑う。




…本当はもっと触れてほしいけれど…それは過ぎた望みだから…




けど…もし叶うなら、この時間があと少しでも長く続けばいいのに____。







小「すみませーん!!遅くなりましたぁ




  僕の朝ごはんまだあります?」




「『!!』」




急に小松田さんの元気な声が食堂に響き頬から徐々に心地よい暖かさが消えていく。




『もちろんちゃんとあるよ。


 用意するからまっててね』



小「はぁい」






弥生さんがご飯をよそっている間に僕は残りのお茶を飲み干し席を立つ。




伊「それじゃあ、僕部屋に戻ります」



小「えっ、もう行っちゃうの?」



伊「今日の実習の用意がまだ終わっていなくて」



本当はもう少しここに居たいけれど小松田さんと楽しそうに会話をしている弥生さんの姿を見たくなくないという嫉妬心から僕はここから離れたかった。

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作者名:千夜 | 作成日時:2021年9月16日 23時

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