両手に花？いえ、両手に薬草です！ (ページ15)

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弥生side

『えっと…』

貴方の愚痴を心の中で零していたら激苦薬草茶が出来きました、なんて口が裂けても言えない…

『最近学園長先生の無茶振りが多くて先生方の気苦労が絶えないみたいで…

　何か力になれないかなぁ〜っと思って作ってみました！』

利「…そういえば父上もいつも以上に疲れていた気がするな」

ごめんなさい、学園長先生……

納得した利吉さんはゆっくり一口、また一口とお茶を飲む。

苦いのに慣れている私でさえ飲むのをためらうほどなのに…

『…無理して飲まなくてもいいんですよ？』

利「いや、折角貰ったんだ。

　それに、”幸運の女神様”が作ってくれたからご利益がありそうだし」

そう言って利吉さんは軽く微笑む。

『ちょっ、それどこで聞いたんですか？！』

利「保健委員会がよく言っているぞ？」

あの子達ったら……

『…利吉さんに言われるとなんだか落ち着きません…』

なんかこう…胸の辺りがソワソワするというか…

年上に言われたから…？

いや、新野先生にもそう呼ばれたことあるし…

利「弥生？」

『え、……っわ！！』

利「そんなに驚かなくてもいいだろ…」

上手く表現できないモヤモヤした気持ちに唸っていると、気がつけば利吉さんが私の顔を覗き込んでいた。

『とっ、とにかく！

　利吉さんは私のことを女神呼びするの禁止です！

　保健委員の子たちだけの特権なので！』

息継ぎする間もなく言葉を出すと、利吉さんは少しびっくりしながら「わかった」と言い、またお茶を飲んだ。