両手に花？いえ、両手に薬草です！ (ページ11)

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『はぁ………』

咄嗟に嘘をついてその場を離れたのはいいものの今日に限って特に仕事が無く、私はせっかく出来た自由時間を薬草茶の配合と試飲に当てていた。

『うわ……よく考えたらこれ、疲労回復に効く薬草しか使ってないじゃない…

　どうりで苦いと思った』

特に何も考えずに薬草を選んでいたらいつも避けてきた飲むにあたって最悪な組み合わせをしていたみたい。

…まぁ、効果は最高なんだけど。

『はぁ〜……どうしよ、これ』

飲めないこともないが湯呑みに手を伸ばすことも出来ずため息が漏れる。

残していても苦味が増すだけなため残りの一杯分を急須から空きの湯呑みに移し、蓋をした。

『さて…ちょっと早いけどランチの仕込みでもしますか』

今日はおばちゃんも夕方まで帰ってこないし、早く始めるに越したことはない。

よし、頑張るぞ！と意気込んでタスキを付けていると、

利「すみませーん。

　おばちゃん、ちょっとお茶を頂いてもいいです…か……」

『げっ……』

今一番会いたくない人No. 1が顔を覗かせた。

食堂に広がるいつもなら心を落ち着かせてくれる薬草のほろ苦い香りが今の私の心情を表しているようで居心地が悪く、私は利吉さんから目を逸らした。