26話 ページ28
【あんず視点】
衣更くんの不調はどういうことか
何でも器用にこなす彼が失敗ばかりするなんて
何かあったに違いない
2年B組へ行って衣更くんを探す
あ、寝ちゃってる…
起こすのも悪いしなあ…
するとクラスの人が衣更くんに近づき
「プロデューサーが来たぞ」と無理やり起こした
ごめん、と心の中で謝る
衣「何かあったか？」
「うん、単刀直入に聞くけど何かあったでしょ」
図星とでも言うような顔をする
衣「いや、さっきAにも話したんだけどさ…最近スランプなんだよ」
「それはわかってる、けど何でスランプなの？」
何か理由があるはず
衣「何がって言われても…いまいちピンとこなくて。けど思い当たることはなくはない…」
「なに？」
衣「2人同時に告白された。俺ってそういうの疎いからどうすればいいのか分からねえんだ」
つまり、好きっていうのがわからないのか
「ただの恋煩いかよ！！」
衣「へ？」
本当に疎いな！思ってた以上だよ！
よくAも我慢してきたよ！
「衣更くんはどっちがいいの？Aか後輩の子」
衣「仮にどちらかを選んだとしたらもう一方が傷つくだろ？どっちも俺の大事なファンだし…」
聞いててイライラする
恋愛に妥協なんていらないはずだろうが！
「傷つくかもしれないけど待つ方も辛いんだよ？」
衣「待つって何を？」
耐えろ、耐えろあんず…！
衣更くんはこの気持ちが初めてなんだから
怒っちゃだめ…！！！
衣「衣更くんからの返事だよ…忘れられたって思っちゃうよ、女の子は」
告白なんて決して簡単にできることじゃないから
切腹と一緒だよ、当たって砕けるんだから
衣「そうか…」
あ「後輩の女の子のことはよくは知らないけど、Aはね」
本当に優しい女の子だと思う
私が男だったら衣更くんが羨ましいくらい
好きな人にこんなに尽くすんだもん
健気だよ
「Aは衣更くんの幸せを願って、不幸を悲しむことができる。それってファンとしてもだけど人として一番大切なことだと思う」
なんて漫画好きの衣更くんに某SF漫画のセリフを
言ってみたけど、彼には響いただろうか
衣「ちょっとスッキリしたかも…」
「言いたいことは見つかった？」
衣「いいや、けど少しずつわかってきた」
絶対諦めちゃだめだよ、二人とも
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作者名：愛音 | 作成日時：2018年4月1日 18時
