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「すぴー」


買い物を終えた俺は門を潜る。
何処からか聞こえる寝息。
秋風が吹き紅葉が降り立った。


紅葉は真っ赤になり、まるで血の色だ。
幕末が真っ先に思い浮かぶ。


視界いっぱいが真っ赤になる。
どれだけ、洗っても赤が取れない。
こびりついた赤の持ち主を殺める瞬間の悲痛な叫びが今にも聞こえてくるような感じがして…


紅葉の木の植わる庭の縁側で寝息の元がわかった。
薫殿だ。
手元には杯が置いてあり、隣には酒が置いてあった。
大方、紅葉を見ながら酒を飲んで酔い潰れたのだろう。

珍しいな。
薫殿は、宴会でもない限り酒は飲まないし
ましてや日がまだ明るいうちに飲むことは一切ない。

幼さの残る顔立ちは可愛く思え、
今や男と2人暮らしと言うのに縁側で寝ると言う無防備さにはため息がでる。
だが、それは“守りたい”という男心を揺さぶらせる。

一回りも歳下の娘に…。

縁の件で、周りはくっついたかと思っているらしいが、たった2回。
肩を抱いたことと、手を繋いだことしかしていない。

お互いの気持ちを確かめるような言葉は掛け合っていないし、己が言ったこともない。


「薫殿…。
風邪をひくでござるよ」


彼女にとって俺はなんなんだろうか?
家族のような関係の延長戦?
それとも、本当の兄のように思っているのか…


異性として、男として見てくれているのか。



巴の墓参りに誘い自分でも中々の遠回しなが、想いは伝えたと思っている。

だが、鈍感な彼女のことだ。
家主として…という気持ちで来ていたのかもしれない。



「んっ…。」


肩を揺すると目を越すらしながら俺の顔をじっと見た。
瞼が重い様子で完全に目は開いていない。


「剣心…。

あなたは何処にもいかないで…。
広いところに1人にしないで…。」


ポスンッ


前のめりに倒れて来た薫殿を受け止めると、薫殿は眠り出した。


彼女は1人になるのが怖いのか…。


強がり。

それは、彼女にぴったりの言葉だ。
芯は脆い癖にそれを守ろうと必死に強がる。


紅葉が風に乗り吹き上がる。


チュッ


頬に接吻を贈る。
柔らかい肌が唇に当たり、熱を持たせる。

秋風がそんな熱をゆっくりと冷ましてくれた。


「拙者は薫殿にこの命、全て渡すでござるよ。」

あなたの隣にずっと居ます。



「愛してる」

あなたは人斬りの俺でも愛してくれますか?









「はい」


fin

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作者名:m i o u | 作成日時:2017年10月5日 20時

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