Do you tell me?

大丈夫です ページ14

sideA

『うわぁぁ……』

ゆとり「大きいね〜」

今、この水族館目玉の大水槽の前に来ている。
ゆとり「ねぇ、あの魚は食べられるやつかな？」

また、始まった。

『うーん、分からないです。』

ゆとり「じゃあ、あれは？」
ゆとりさんは群れで泳いでいる魚を指差した。
『あれはアジですね』

ゆとり「アジ？それ、食べれるヤツだ。」

『あのーゆとりさん？そろそろ水槽をみて、食べられる魚か食べられない魚か考えるのやめません？』
でも、“あれは？あれは？”と聞いてくるゆとりさんは年上の人だと分かっていてもすごく可愛い。

ゆとり「じゃあAちゃんはこの水槽見て何を思ってるの？」

『え？えーと、あのアジたち“スイミー”みたいだなぁとか？』

ゆとり「スイミー？」

『小学校の「｢｢あの！歌い手のゆとりさんですか？！｣｣」』

そこには可愛らしい数人の女の子がゆとりさんに話しかけていた。

ゆとり「あ、うん。」
ゆとりさんは気まずそうにチラッと私の方を見たので、私はゆとりさんの目配せに“大丈夫ですよ”の意味を込めてうなずきゆとりさん達から離れた。

「ゆとりさん！握手いいですか？！」

ゆとり「いいよー」

ゆとりさんを待ちながら、水槽を眺めていた。
あ、マンタだ、可愛い。
さすが人気歌い手、ただでさえ背が高くてかっこいいから目立つもんなー。ファンの人達の声を聞きながらこんなことを思っていた。

なんでこんな私と水族館なんて来てるんだろう？
でも、“飽きないかなってね”なんて言ってた。私なんてつまらないし、あのファンの女の子達みたいに可愛くないのに……
こんな、デートみたいなこと……
デート…………デート？！
なに考えてるんだ！私は！

と混乱していると
「ねぇ、ねぇ」

『あっ！ゆとりさん？』
振り返ると知らない男の人が数人立っていた。
「ゆとり？まーいいや、君1人？俺らと回らない？」

『すみません1人ではありませんし、友達を待ってるんです。』
と、毅然とした態度で答え……てるはず！
バイトとかで変なお客に絡まれた時と同様の態度をとるんだ、私！

「えーいいじゃん、ずっと君1人だったよね？ほら、行こ？」

なんだ、この人たち！バイトで絡んでくるお客よりしつこいし、タチが悪いし。

それに、こわ……い。我慢だ、私！

『すみません、本当に知り合いと一緒なので。』

「1人なんでしょー？嘘つかないで寂しいね。俺らが一緒に居てやるからさ」

ガシッ))
腕を掴まれた、どうしよう……

ごめんなさい→←嘘だ

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