1 - 5 寂しいなんて言えないよ ページ5
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僕は縦に何度も頷きながら、歳を重ねる度カッコいいじゃなく、綺麗になっていく祐兄の姿を惚けながら見ていた。
キリッ と凛々しい目付きに、肌も男のわりに色白できめ細やか。紅くて長い髪を後ろに束ね、わざと余らせた残りの髪は下に垂らし、薄ピンクの羽織を着ている兄上の姿は、どっからどうみても女の子にしか見えない。
いつか僕も、あんな風になれるかな?
……ううん、なれるかなじゃなくて、なってみせるんだ。
この先も祐兄の隣にいたいから。
「あまり無理はしてはダメだからな」
ポンッ と頭に置かれる手。
「無理なんてしてないよ? もう、心配性だな〜」
「……そっか。そうだな、心配し過ぎかも」
そう言って撫でられるのかなと思っていた手が離れた。
「と、そういえば行くところがあったんだ。ごめん紅覇、また後で話そうな」
「ええ!もう行っちゃうの!?」
一年半前まではどこに行っても一緒だったのに、僕をお世話をする大人達から「兄離れしないとダメですよ」と言われて以来、部屋もお風呂も何をするのにも一人になってしまった。しかもここ最近祐兄は、炎兄と明兄に戦争の見学に連れてもらっているらしく、まともに会話をするのだって本当に久し振りで……。
話したい事もいっぱいあったんだけど、返ってくる言葉はいつも同じ。
「炎兄さん達に呼ばれてるんだ!」
羽織を翻し、僕の側から離れて行ってしまう。
腕を伸ばそうとするけど、もう片方の手で押さえた。
「………仕方ないよね」
また一人になった僕は誰に問う訳でもなく、落ちていた剣をゆっくりと拾い上げる。
「忙しいもん、祐兄。もっと一緒にいたいって言ったら、困っちゃうよ」
「何で?」
「……それは僕よりずっと大人だから」
「大人だから忙しいの?」
「うん、きっとそう……」
……あれ?
僕、さっきから誰に話してるんだろう?
自分の口に手を当て我に返る僕に、横から どうしたんだろう と顔を覗きこむ男の子の存在に気付くと、情けないくらい大きな悲鳴をだした。
「うわあぁっ!!? だ、誰だよお前〜!! 」
何歩か仰け反り、着物の裾で相手を払うように バタバタ と暴れさせると、持っていた剣が手から滑り落ちた。
僕と同じくらいの男の子は首を傾げ、そして間を置き、小さく述べた。
「ジュダル」
「……ジュダルゥ? 聞いたことない名前だなあ。お前も王族かなんかなの?」
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初火(プロフ) - ラウさん» ありがとうございます! 次の更新は早めに出来るよう努力します!(。・ω・。)ゞ (2015年7月30日 20時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
ラウ(プロフ) - イラストかわいてです!更新頑張って下さい(*´∀`) (2015年7月20日 23時) (レス) id: 0b7fa14454 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ゆみさん» ありがとうございます! 実は紅覇君の実の兄という設定はあまり見かけなかったので、だったら自分がなんとかそれを活用し、面白い話を作れたらなと思って書いてました。長文失礼しました! (2015年6月30日 20時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - 舞舞さん» ありがとうございます! 私の書き方が少しでも参考になれるのなら、嬉しい限りです。 ぜひ舞舞さんが書いている作品を読んでみたいです! (2015年6月30日 20時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
初火(プロフ) - ウルさん» 初めまして! ありがとうございます。時折イラストも載せる予定なので楽しみに待っていただけると嬉しいです! (2015年6月30日 20時) (レス) id: 4a3cd1d519 (このIDを非表示/違反報告)
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