それぞれの恋愛模様たち (ページ17)

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Type-Nasu 猫だったら良かったのに

村上side

約束の日曜日。

俺はAさんを迎えに車を走らせる。

目的地は猫同伴可のレストラン。

お店の方とは入店条件があるのかを事前に確認した上で、チーちゃんとシンゴくんに首輪とリードもしっかり用意したし、ペット用キャリーバッグに入れて準備万端。

シンゴくん、おとなしい子で良かった。

『念入りに準備をして外出するなんて、久しぶりだからワクワクします。』

村上「俺も。なんや遠足気分。」

お店はカジュアルな雰囲気のイタリアン。

車で来たから、ワインが飲めないのが残念やけど、Aさんとシンゴくんが楽しんでもらえたらそれでええ。

オススメのマルゲリータを頬張り、笑みがこぼれるAさん。

チーちゃんもシンゴくんも初めての場所にパニックになることも無く、ササミを頬張る。

久しく忘れていた、団らんという光景。

『村上さん、パスタ食べます？』

村上「お、おう。食う食う。」

Aさんは小皿にパスタと取り分ける。

村上「うまいな。」

『どれも美味しいし、シンゴとレストランに行けるなんて思ってもいなかったから、とても嬉しいです。』

わかってる。

わかってるよ...

このシンゴが、俺のことやないくらい。

でもな、今は俺の事だと誤解させてくれ。

デザートを食べ終わり。

紅茶で一息。

『村上さん、今日は誘ってくれてありがとうございます。』

苗字で呼ばれて一気に現実に引き戻される。

村上「あ、あの...」

『どうしました？』

あーもう、言ってしまえ。

村上「俺も信五やから。」

『あっ、ごめんなさい。』

村上「いや、今日は俺もAさんと食事に行けて、めっちゃ嬉しいです。それに、紛らわしいかもしれんけど、俺も信五って呼んでもらいたいんです。」

おし！言った！

『...それはできません。』