第四話 行方と恋愛事情？？ 拾伍。 ページ4
言えるわけない。毒があれば勝機はこちらだと言われ、少数派に崇められた私自身も死んだ際に、相手を道連れにできるように、わざと毒を抜かないで食べていた、食べろと上から言われていた、だなんて。勿論これも、あの実験計画に入っていたのだから。でもこれは効果がないことが立証されたことで、食べる必要がなくなったの。
『東条様、もうあの彼岸花、は食べなくても――え？ 』
食べろ。と言ったのだ。それきり問い詰めてもなにも言わなかったから、食べないといけないと思えば、際限がないからとても苦しかった。実花に変わってもらったこともあったな。
「とりあえず、A殿。もう体調は大差ないでござるな？？ 」
「うん。」
「なるほど。拙者、もう行くでござるよ。」
そう言って、踵を返したとき、Aが待って。と言った。俺が、どうしたのかと言えば。
「ありがとう。剣心。」
と言って、可愛らしい笑顔を俺に向けてきたのだ。あんまり慣れてなくたじろいでしまうが、なにか言わなければと思い、彼女の布団まで歩き、座り込む。
「A殿。体調が悪化しなくてよかった。A？？」
そう言う。なんだろう、得体のしれない恥ずかしさを感じ、顔を背けた。目の前の彼女は寝ている。今、この部屋にいるのは俺とA。つまり……。
「寝てる、か。ふたり……きり、だな。」
その声は少し震えている。俺は緊張しているのだろうか。そうだったらそうかもしれない、と無理やり自分自身を納得させる。普段二人きりになること事態が少なく、胸に秘めている想いを伝えられる機会が、ほとんどないに等しいのだ。伝えようと思ってもうまく言えなかったり、自分のプライドが邪魔をする。だから、伝えよう、この寝ているときにでも。
「聞いて欲しいことがあるんだ、A。俺、はお前が好きだ。巴を失くしたあの日からずっとなにもみていなかった俺を、お前は支えてくれた。」
「お前、は俺になにか隠し事をしていたようだが……、ごめんな、気が利かなくて。お前が辛いときに、助けになることが出来なくて不甲斐なさを感じているよ。」
そう言って、彼女の髪を撫でる。ああ、とても、愛おしい。この手で大切に、今すぐにでも包みたいくらいだ。
「さらさら、だな。他にも言いたいことがたくさんあるのだが……。なにせずっといい続けていると起きてしまうかもしれぬから、な。今回はこれくらいにしておくよ。最後にもう一度。俺はお前が好きだ。」
第四話 行方と恋愛事情？？ 拾陸。→←第四話 行方と恋愛事情？？ 拾肆。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 12人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みーー | 作成日時：2022年10月3日 5時
