帝王の天使3 (ページ12)

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110話ページ12

学院祭から何週間か経ち、俺たちはあれから何回かライブハウスでの公演を繰り返していた

一時期完全停止をし、それと同時にユニットの看板であったなずなくんが抜けてValkyrieは弱体化の一途を辿ったが、リーダーの帝王も少しずつ回復し、今までとは違う新しい道を歩み始めることができてきた

まだまだみかと宗の間での会話やお互いの扱いについては見直しをしていかなければいけないところも多いが、良い方向に進められているように思う

そして今現在

宗「ノン！駄目っ、僕の五指は錆び付いてしまった……！」

宗のスランプ真っ只中である

この状況になった宗はまあすこぶる機嫌が悪い。とっても悪い

元々宗は自分の思い通りにならないと気に食わない性分であるから、それが火に油を注ぐような結果を招くのである。

つまり、とっても面倒ということである。

いや、きっと俺が言うのだから相当面倒なのだと思う。
鬼龍くんからも「よくお前らあれに嫌な顔をしないな」と言われたし
いや、一言言わせてもらえれば嫌な顔は普通にしたいくらいなのだができないだけというか最早慣れたとでも言おうか
実際俺とみかは慣れた。こう言うことが結構昔からありがちだったし、元々宗の芸術というのはそういうマイナス感情などを転化できるタイプだからもう好きにしてくれというところもあると言えばあるのだが

ただ俺は流石にそれにずっと耐え続けるほどの猛者ではない
もう何日目だ、これは
いや別に良いと思うが。

流石に精神衛生上よくないかと思ってみかにできるだけこの状態のまま近づかせないように気をつけていたのだが流石に俺がギブだった

A「……ごめん、みか…ちょっと俺休憩もらって良いかな…？」
そう言った俺の顔色やら諸々はだいぶ酷かったのか、みかは慌てて俺の腹に飛び込んできた

みか「お、お兄やん大丈夫？！全然ええよ、こっからは任せとき！顔色悪すぎやで？！ちゃんと休んでや！！」
そう次早に言われ、さっさと俺は手芸部の部室から出されてしまった

まだまだあの2人が心配ではあるが、その前に俺が潰れていては仕方がない。有り難くこの休みをリフレッシュのために使わせてもらうことにした

こちらに帰ってきた春から初夏に移り変わり、爽やかでありながらもあまりにも眩しい太陽の煌めきを横目に、方向音痴の俺は何をするわけでもなくフラフラとそこら辺を彷徨っていると、どこからか明るく元気のある声が聞こえてきたのでそちらに向かうことにした