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α5 大人KZの日常〜和典先生の1日〜 ページ32

立花は荒い息を繰り返し、見た感じ、走ってきたのだと一目で分かる

「何で、ここに………」

つい、思ったことがそのまま口に出てしまう

「えと、その………きゅ、急にごめん!!」

立花は、少しぎこちなく切り出し、頭を下げる

俺はその態度に申し訳なさを感じ、頭を上げてもらおうと口を開けた


が、すぐに立花が話し出す

「あ、あの、朝、皆を怒らせちゃって、それで、いつもは一緒に来てくれる悠飛も、
今日は別の駅………黒木君と一緒に降りちゃって」

あいつ…………

そういえば朝、立花1人だったっけ…………

「それで私も仕方なく、1人でネタ探ししてたんだけど………やっぱりその、さ、ささ寂しくて、悠飛……とか、皆に電話して、謝って、ゆ、許して……もらえたんだけど…………」

そこまで言って立花は、ずっと下げていた目線を少しだけ、チラリと上げた

でも、俺と目が合った瞬間、またすぐそらしてしまった


「う、上杉君だけ…………電話……………出てもらえなかったから………………」

「え…………!マジで!?」

ポケットからスマホを取り出し、電源をつける

すると、不在着信が3件、立花が2件と、黒木が1件、入っていた

「うわ……ごめん………」

もっと上手く伝えたいのに、何と言えばいいのか、分からない

「えっと……マナーモードにしてて、音鳴んなくて……気付かなくて、
だから………その………立花に怒ってるから、電話でなかったとかじゃ……ない、から」

言ってから、すぐに後悔する

もっと考えて言えば良かった

国語はいつになっても苦手だけど、この伝え方はいくらなんでも下手すぎた

でも、立花はそんな事気にする様子もなく、顔を上げて言った

「本当…………?」

俺は、小刻みに何度も頷き、「大丈夫」と、笑って言った

そして、ずっと伝えたかったことを、今度はちゃんと、口にした

「俺も………ごめんな。朝ちょっとムキになって。
あんな些細な事なのに、口も聞かなくて、悪かった」


届くかどうかは、分からないけど

精一杯の謝罪の意を込めて、頭を下げた


すると、立花は慌てたように言う

「ううん!大丈夫!!
誤解されるような事してた、私が悪いし………。だから……その………」

立花は近付いてきて、頭を下げている俺の、一歩手前で止まった


「これで………仲直りね」


俺が顔を上げれば

目が合った瞬間、花が咲いたように笑う


それを見て思わず、そっと、立花の後頭部に手を伸ばし、胸の中に引き寄せた

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麻琴 - 月さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年4月4日 23時) (レス) id: de2b146d81 (このIDを非表示/違反報告)
- この「もしも……」っていうお話,スゴーーーく面白かったです (2019年4月1日 15時) (レス) id: 422ad37742 (このIDを非表示/違反報告)
- お話、すごく面白かったです。更新待ってます!今後も応援しています。 (2019年4月1日 15時) (レス) id: 422ad37742 (このIDを非表示/違反報告)
麻琴 - 彩さん» あはは。ありがとうございます。先が読めないのは私もです。最初に決めてたラストとだいぶ違います(笑) (2019年3月26日 23時) (レス) id: de2b146d81 (このIDを非表示/違反報告)
- 先が読めない〜!続きが気になる!更新頑張ってください。応援しています! (2019年3月26日 10時) (レス) id: 3a49a3167f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:麻琴 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年6月4日 22時

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