M!LKest2 -勇者M!LKと七つの大罪- Part7 (ページ39)

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「仁人ぉおおおお！！！」

気のせいなんかじゃない。
ハッキリとそう聴こえた。
その大声で瞼を開けて見てみると、部屋のドアが開く、というより蹴破られるように勢い良く開き、そこには火傷を負って傷だらけの柔太朗と太智が、肩で息をしながら血相を変えて立っていた。

仁人「柔太朗…？太智…？」

弱弱しくつぶやく仁人の目に、二人の顔が映りこむ。

柔太朗「仁人！！大丈夫か！？」

太智「助けに来たぜ…って、なんだよこれ…？！お前何されたんだ？！本当に無事なんだろうな？！」

両手足を鎖で拘束され、着ている内衣も衣服としての役割をほとんどはたしていないほどズタズタに破れている。
そこから見える皮膚は、痣(あざ)や引っ掻いたような切り傷、無数の小さな刺し傷がいたるところに広がり、血で赤く染まってしまっている。
肩にはひどく潰れた穴が開き、顔も肌の色が判別できないほど血や痣や傷にまみれ、その瞳は真っ赤に腫れて、大粒の涙が今も流れ落ちているのが見える。

拷問官「お前らどうやってここに？！」

そう言うと、拷問官は仁人の眉間につきつけていたライフルを柔太朗たちに構え直した。

柔太朗「うるさい！！今それどころじゃないんだ！！！」

柔太朗は一瞬でライフルを凍り付かせ、氷の剣でそれを弾き飛ばすと、生身の体を傷つけぬように拷問官の服の袖や裾、ズボンの端を何本もの氷の矢で打ち抜いて壁に縫い付けた。

太智「お前が仁人をこんな風にしたのか？後で覚えとけよ…！！」

拷問官「ひいいい！！」

柔太朗「仁人…！」

二人は壁に縫い付けられて動けなくなった拷問官をにらみつけると、くるぶし程まで溜まった水をかき分けながら、仁人の元へ急いで駆け寄った。
そして、手足の拘束を外してぐったりと倒れこむ仁人の体を支えながらゆっくりと床に座らせた。
　
太智「ひ、ひどすぎる…。何でお前がここまでされなきゃいけないんだよ…。仁人…！おい、しっかりしてくれ…！！」

柔太朗「くそ…全身ひどい傷だ…。とにかく、一番損傷の激しい肩と背中の傷の手当てだ…！琉弥が持たせてくれた薬を使おう…！」

柔太朗は自分のローブから小瓶を取り出し、中の液体を仁人の傷に塗り込んでいく。
抉れた傷に薬が染みて、まるでまた抉られているかのような激痛が走り、仁人は叫び声をあげて身をよじって暴れはじめた。