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その叫びもむなしく、野盗頭の両手足の骨は砕け、肉は裂けて破裂した肉片が飛び散り、血が噴き出した。
野盗頭「ぎゃああああああ!!!!」
野盗頭の叫び声が、周囲に響き渡る。
そして、野盗頭の手足から噴き出す生暖かい血しぶきが青年の顔にかかり、赤く染めていく。
手足が潰れ、動くことができない野盗頭の腹のあたりを、青年は片足で踏みつけた。
野盗頭「あ、あぁ…」
野盗頭は恐怖で顔を引きつらせる。
逆に、血のかかった青年の表情からは、何の感情も読み取れない。
ただ静かに、野盗頭を
勇斗「お前は、俺が"この手で"殺してやる…」
そう言って、青年はしゃがみ込むと、自分の両手で野盗頭の首を掴み、力を込めた。
野盗頭「が、あ…」
手足が潰れて、抵抗することができない。
首を絞められ、息をすることも、何を言うこともできない。
野盗頭の首を絞める青年のその手に、だんだん力がこもっていく。
勇斗「……」
青年は、苦しそうに目を見開く野盗頭の、その瞳を覗き込んだ。
その瞳には、自分の村で、母親の代わりに自分を育ててくれた祖母の姿、更に村の住人達の姿が浮かんで見えた。
そして、町の入り口で殺された娘とその父親の顔、最後に太智の表情が浮かび上がった。
皆、ごめんな…。
俺がもっと早くこうしてればよかったんだ。
もっと早く気がついて、こうしてればよかったんだよ…。
でも、もうそれも終わりだ。
俺にはもう、後戻りは必要ない―
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月7日 16時