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太智「あそこ!!」
太智が指差した先で、小さな人影が、自分たちの荷物を持って走り去っていくのが見える。
食料の入った背中袋も、仁人の聖剣も、すべて持っていかれた。
無事だったのは、ずっと背負っていた琉弥の背負い袋と、瑞生の水晶玉のみ。
勇斗「あ!おいちょっと待てよ!!」
今度は勇斗の声で振り返ってみると、さっきの二人の子供も勇者たちに背を向けて走り去っている。
瑞生「やられたね…。ああやって僕らを荷物から遠ざけて、その隙にほかの仲間が僕らの荷物を盗むって算段か…」
太智「あんのクッソガキども!」
仁人「とにかく追いかけよう!」
太智「俺に任せとけ!」
そういうと、雷鳴が響き、太智の体は雷になって逃げる影を追う。
雷は一瞬でその影の前に踊りでた。
太智「やいやい!止まりやがれ!」
「!!」
仁人達の荷物を盗んだのも、さっきの二人と同じぐらいの子供であった。
その子は少し驚いた表情を浮かべたが、すぐに太智をにらみつけると、持っていた仁人の聖剣を鞘ごと振り回し、太智の
太智「はうぐうう!!?」
太智は突然の痛みにその場でうずくまった。
そしてその子は「あっかんべー」をすると、走り去っていく。
勇斗「うっわ、痛そう…」
追いついてきた他の六人は、太智に憐みの表情を浮かべた。
太智「クッソ…絶対許さないぞあのガキ!」
太智は目に涙をためながら、自分の脛をさすっていた。
仁人「勇斗は太智を頼む。私たちは後を追おう」
太智と勇斗を残し、仁人達は走りさった子供を追いかけていった。
―
荷物を盗んだ子供を追ううちに、仁人たちはある村に辿り着いた。
そこは小さな村で、日暮れのせいか人影が見えない。
どの家の窓にも明かりは灯っているが、布が被せてあり、中が見えないようになっている。
仁人「…」
仁人はその様子を観察しながら子供の後を追っていた。
舜太「あの子の村かなぁ?」
仁人「だろうな。私たちを撒くためにしっかり道筋を立てて逃げている。地形を理解していないとできない動きだ」
柔太朗「だが、早さが足りないな。そろそろ躾の時間といくか」
柔太朗はそう言うと、子供が走る前方に、氷の壁を出現させた。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月9日 17時