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14ページ From:俺 ページ15

サービスエリアに着き、殆どの生徒や先生達が降りていく。
そんなバスの中で俺は後ろの方に乗っている理華さんを待っていた。
ALTO君達も降りていった為、今周りには誰もいない。
『先生。』
待ち人が来て、彼女と一緒に降りて行く。
『先生も何か買われるんですか?』
や「うん。ちょっと飲み物でも買いたいなって思ってね。」
二人きりでいると、手でも繋ぎたくなってくる。
でも我慢しないと、ね。

売り場に着いてから、二人で悩む。
『どれにするんですか?』
や「そうだね。せっかく県の外に来てるんだから、
ここにしか無い様なご当地の飲み物が欲しいかな。」
そう答えながら探していると、彼女がある物を見付けてきた。
『あ、これ…。
先生、各都道府県のご当地ジュースシリーズって。』
今の俺にお誂え向きのシリーズだな。
さっきはここにしか無い様な物が良いと言ったけど、
やっぱり俺の地元を優先して探してしまう。
そして、見付けたのは。
や「と…、富山ブラック味…!?」
まあ、魚介系よりはマシか。いやそうでもないよ。
ラーメンをジュースにするってどういう事よ。
『本当に真っ黒ですね。イカ墨みたい。』
や「…富山だったらホタルイカ?」
飲んだ後に口の中が真っ黒になってそうだ。
よし、気になったからこれにしよう。
ぽずにも激辛マニアのお返しとして買っていってやろうか。
『私も同じ物にします。』
それぞれ買い物を済ませ、売り場の外で腕時計の時間を確認する。
まだ時間は余っていたので、二人で話し込む事にした。

理華さんが先程買った富山ブラック味のジュースを開けて一口飲む。
『…っ。これがやんわり先生の味なんですね。』
や「大事な単語が抜けてるよ。俺の<地元の>味ね。」
おかげでドキッとしたじゃないか。
赤くなりそうになるのを無理矢理にでも
抑える為、俺もペットボトルの蓋を開ける。
…うん、一気に懐かしくなったよ。
本家本元の富山ブラックが食べたくなった。
や「ねえ、理華さん。
卒業したら俺の地元に来なよ。案内するから。」
『じゃあ、本物の富山ブラックを食べさせて下さいね。』
や「…うん、約束する。
ちゃんとジュースになってない、温かいやつを食べさせてあげるね。」
そっと交わした、二人だけの約束。
『……ふふ、やった。』
彼女の卒業祝い兼、初めてのデート。
今からでも、楽しみだ。

出発の時間が来て、バスに乗り込む。
その時にぽずにジュースを渡すと、
奴はえ、と声を漏らしてからすぐにニコリと微笑んだ。

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年2月19日 21時

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