拾伍 ページ15
*
柱合会議終了後。
皆がぞろぞろと帰っていく中、私はというと或る少年に捕まって居た。
「何かな」
或る少年と云うのは、不死川実弥の事てある。
「話がある」
「……判った。でも、一寸した用事が済んでからだね」
「……用事?」
「そ」
そして私は、待機している隠に向けてこう伝えた。
「私達を蝶屋敷に」
* * *
隠によって蝶屋敷……あの姐さんとしのぶちゃん達美女姉妹の拠点に、彼と私で訪れた。
用事、と云うのは、例によって彼女らに心中のお誘いをする事と、包帯を換えてもらう事だ。
本命は、あの面倒な柱合会議が漸と終わったから癒しを求める為だけれど。
取り敢えず、私達は屋敷の中に入り、彼女らを探した。
「おぉ、しのぶちゃんではないか! いやぁ、久しいね。と云う訳で此れから私としんじゅ……」
「あら、Aさん。最後にお会いしてから、まだ一月も経っていませんよ。……不死川さんも居らしたのですね。お二人はお知り合いか何かですか?」
「ちぇ、つれない。まったく、何時になったら私と心中して呉れるんだい!?」
「永久に致しません」
「けち」
彼女……しのぶちゃんと再会し、何時ものくだりをする。
其れを見た彼は、呆然としていた。
うける。
「……心中、つったか? 今」
「ん? ああ、気にしないで呉れ給え」
「……」
まあ、本来の私を知らない彼は当然驚くだろう。
だって、私と初対面の人に“心中”やら“入水”やらを聞いて、驚かない人は居ないからね。
「はぁ……。それでは、Aさん。私はもうすぐ任務がありますので、早めに包帯の交換を終わらせましょうね」
「ねぇ、今の溜息はなんだい? ねぇ」
「あ、不死川さんはこの部屋から出て行ってください」
「おや、無視かな?」
「うるさいですよ」
彼女に一刀両断され、私は泣いた。
彼が彼女に指示されたとおり退室した後、包帯を交換してもらった。
服を脱がなければならないからね。
包帯を巻いてもらっている途中、付近に在った鏡を覗けば、其処には双子の兄……治に善く似た私の顔が映っていた。
自身の顔でこうも懐かしい思いに駆られるのは、何だか不思議な気分だ。
「……Aさんの傷、一時よりもマシにはなりましたが、私はもうその傷を見たくありません。きっと、姉も同じ思いです。
……どうか、自分を大切にして」
彼女はそう云い、私を包んだ。
*
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サブとバラ(プロフ) - 戯言さん» コメントありがとうございます!本当にお待たせいたしました。毎日とはいきませんが、更新停止にならないよう、少しずつ連載していきますので、どうかこれからも応援よろしくお願いします! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 4ca3bc2d2a (このIDを非表示/違反報告)
戯言(プロフ) - 待ってました!!更新ありがとうございます!!! (2021年4月1日 18時) (レス) id: 2a27d057e9 (このIDを非表示/違反報告)
サブとバラ(プロフ) - Kuro4141さん» ありがとうございます!皆さんをお待たせしたくせして受験落ちるわけにはいきません……!イイとこ受かってお祝いの更新します! (2020年10月17日 22時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
Kuro4141(プロフ) - 気長にお待ちしております!受験頑張って下さい! (2020年10月17日 19時) (レス) id: 8db3a541f6 (このIDを非表示/違反報告)
常田(プロフ) - リヴさん» またまたリヴ様!! こうしてコメントを下さるのは何度目のことか……!! 嬉しい限りでございます!!!!! ありがとう!! (2020年4月26日 12時) (レス) id: 89f5f989ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:サブとバラ x他1人 | 作成日時:2019年10月19日 22時