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「人の気持ちなんて簡単に変わる。」
「北山…」
「藤ヶ谷だって、この世界にいるから分かるだろ?どんなに望んだって、純粋に人を愛する事なんて出来ない。簡単に人を裏切って、傷付けて…そんな事が日常に行われてる世界に俺達はいるんだよっ…。」
北山の言葉は、俺の胸にもズシリと重く響いた
だって、北山だけじゃない
俺も、メンバーも…沢山傷付いて来たから…
俺達のいる世界で恋はタブー
タブーを犯せば、必ず傷となって返ってくる
噂は憶測を呼び、憶測はやがて現実のように駆け回る
心無い人からの言葉、冷たい視線…
時に自分の信じてた人にすら、投げ付けられる
北山だって、この世界にいなければ脅される事は無かったんだ
北山はただ純粋に彼女を愛しただけなのに…
「藤ヶ谷の約束も、気持ちも…消えてなくなるよ…」
「…」
「……誰も…俺を守ってなんてくれない…」
「…」
「誰も…俺を許してなんてくれない…」
「…」
「もう…誰も愛せない…」
泣き疲れて放心したような虚ろな眼差しで、感情を失ったように呟く北山
俺は北山の頬を手で包んで、北山の瞳に自分を映してから、ゆっくりと再び唇にキスを落とした
「北山…?俺を見て…」
「藤ヶ谷…」
息を吹き返したように、北山の瞳が俺を捉える
「俺には、純粋に人を愛したい…俺に守って欲しいって…北山が言ってるように聞こえるよ。」
「…ちがっ…」
「俺が守るよ。北山が俺を求めてくれるなら、どんな事してでも、どんな事からも北山を守る。同じ世界にいるから…北山の傍にいるから、俺には出来る。そう思わない?」
「藤ヶ谷…」
「俺ね、やっぱりこの気持ちは恋なんだって思う。北山の事好きだから、どんな北山でも受け止められる。どんな北山も愛しいって思う…例え北山の心が、体が真っ黒だったとしてもね。」
涙を流しながら俺の言葉を聞いている北山
壁に預けたままの体を、そっと抱き寄せて柔らかい髪を撫でた
俺の腕の中で、もう北山は抵抗などしてこなかった
「そうやって、俺に全て預けて。北山はただ…俺の隣にいてくれればいいから…。俺が北山の苦しみを支えるから…」
北山の指がキュッと背中を掴む
それを感じながら、北山の心の扉が少しずつでも開いていくように俺の熱を与え続けた
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作者名:MISA | 作成日時:2017年12月7日 13時