第30 ページ37
「割と驚いたよ」
「割と、ですか…」
他愛も無い話をしながら街を進む
先刻の目隠しは太宰にとって挨拶みたいなものらしく、決して心の底から驚かそうとしたわけでは無いらしい
けれど「驚いたか」と問うてくる辺り、私に驚いて欲しかったようだ
私の「割と」という発言に対し、太宰は苦笑いを浮かべた
もっと驚いて欲しかったのだろうが、最後に驚いたのが数年前というくらい、私は驚く事が無かった
それはそうと、出会ってから数分した時太宰が手を握ってきた
本人曰く「迷子にならない為」らしいが、その手の冗談が嫌いな私はそうそうにそれを振り解いた
「何処まで歩くの？」
「5分くらいですよ。疲れました？」
「いや、別に」
とは言ったものの、自分の体力から見積もってあと10分歩けるかどうかという状態だった
運動も外出も必要最低限で済ませてしまうので、こういう時に仇となる
それでも5分の距離となればまだ大丈夫の範疇だ
せめてその間に走ったり跳んだりする事が無いのを祈る
「そういえば横溝さん、紅茶お好きなんですよね。」
太宰が間を埋めるように口を開く
その事実を言った覚えは無い
乱歩だろうか？
「突然御誘いしちゃいましたけど、お好きみたいで良かったです。好きな銘柄とかありますか？」
「…うーん、フルーツティーばっかりだからな…」
「あ、これから行く店、フルーツティーに定評があるんですよ！是非飲みましょ！」
太宰の声が上向きになる
先刻驚かれなかった事に対しての落ち込みは、既にもう無くなり失せたらしい
やはり笑顔だとか嬉しそうな顔だとかの方が、乱歩と似て良く似合う
乱歩も一緒に来れば良かったのに
その後「もうそろそろ昼時だから急ぎたい」とまた手を掴まれそうになったが、自分も急げると言い張って手から逃れた
太宰はやけに心配症らしい
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赤井司(�洩襦��瑛�) - イラスト凄い！ (2018年3月6日 18時) (
レス) id: 32189bcc43 (このIDを非表示/違反報告)
文拡月(プロフ) - とても面白い作品に出会えて幸せです！今さらなのですが、お疲れ様でした。作品を完結させるのは大変なことなので、尊敬します！ (2017年8月14日 17時) (レス) id: f10ef5b597 (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - お疲れ様でした(今頃)太宰さんバージョンも…みたい…なぁ…？ (2017年7月10日 18時) (レス) id: 8973e64cc8 (このIDを非表示/違反報告)
読む専門の人 - 質問に答えていただきありがとうございました。 (2016年12月25日 4時) (レス) id: 256838e740 (このIDを非表示/違反報告)
リア(プロフ) - 察したのか。私だと察したのか、脳内に直接語りかけただけで。(続編or新作希望早く出せや) (2016年12月24日 1時) (レス) id: 215c2b096b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：來麦 | 作成日時：2016年6月14日 6時
