私たちは都合がいい２【まふまふ】

52話 ページ5

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「俺な
あの日Aちゃんの反応見て思ったこと
あるんやけど

話してええか？」






あの日、とは
最後に会ったクリスマスの日のことで間違いないよね


真剣なluzくんの目を
逸らさないように見つめる






『…うん』





私が頷くと、
いつもの優しい顔で私の手をとって
大きな両手で包み込んだ







「そんな顔せんで、
困らせたいわけじゃないんやで」



『……うん』





目を瞑って、開く









「俺、ちょっと焦ってたんかもしれん

Aちゃんがもっと早く俺の方に来て欲しいって。

アイツのことを少しでも忘れられるようにって。」





『…………うん』








だめだ
まだ泣いちゃだめ、私









「だから、もう焦ることはやめた」








力強い眼差しはどこか優しく、
いつもと変わらない口調で
私の心を撫でるように木霊する









「待ってる。

俺はAちゃんがどんな答えを出しても
受け止めるつもりやで」




『…るすくん』






こんなに温かい優しさが
真っ直ぐに注がれてくる



我慢していた涙が流れ出した





luzくんは手を離して
私の頭へと伸ばした


そしてゆっくりかき混ぜるように優しく髪を撫でた







泣き出す私を
宥めるようにじゃなく、
一緒に寄り添うようにそばにいるように





顔を上げるとluzくんが優しく微笑む









『luzくん、ありがとう』






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ありがとう





そしてたくさんごめんね








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会場から出た私はすぐにタクシーに乗り込んだ



luzくんは打ち上げがあるらしく、
申し訳なさそうに「送ってあげられなくてごめん」と言っていたけど


私は気にしないでと言って楽屋を出た









何度か見る、静かなタクシーの車内から見える夜景



タクシーの中で
舞台が始まる前に切っていた
携帯の電源ボタンを少し力を込めて押す





電源が入ると
一気に流れ込むように通知が入ってきた







止めどなく溢れる

数十件ほどの通知、







その中で一際地味なメッセージが視界を横切った






何度も何度も胸を高鳴らせた、
単純で簡潔的な短い文章









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《22:00 いつものところで待ってる》









変わらない文なのに

何故か私は妙な違和感を感じていた

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