49話 ページ2
luz side
なに………それ
余裕そうな笑みに、さっきとは明らかに違う態度を見て
ふつふつと怒りが込み上げてくる
どれだけの思いであの子が傷ついて、
どれだけ俺が必死にあの子を追いかけているか
何も知らないくせに
.
…でも言い返せない
コイツは俺の知らないあの子の表情を知っていて、
俺が欲しくてたまらない物を手にしてる
一番欲しい笑顔を、一番近くで見ている
その悪魔のように微笑んだ顔は
ゆっくりと俺の身体を蝕んでいくように
胸に突き刺さった
.
「…失いたくないなら」
…
話し出すアイツに
俺はもう一度目を合わせた
黒い服に身を包んで
たまに覗かせる肌は雪のように白い、
白い髪は目にかかるくらいに長くて
表情を読み取るのが難しいくらい
でも真っ直ぐに俺の目を見ている
一瞬その眼差しが何故か少しだけ潤んだように見えた
.
「失いたくないなら、守りなよ」
最初に感じた違和感
初めて目を合して思った。
俺とコイツは少し似ている、と
見た目とかそういうのじゃない
なんて言うか、言葉にしにくい何かが
失いたくないなら守りなよ…?
その言葉になんの意味を込めているのか
俺にはわからない
.
「まふまふ?
何してんのこんなところで」
さっき見た、カラフルな頭の人達とは対称的な
黒髪の落ち着いた雰囲気の人がこっちに向かって歩いてきた
細身の体型は驚くほどしなやかで
醸し出されるオーラは目を惹き付けられるほど
だれ…?
「いきなり居なくなるなよな
探したんだけど」
「すみません、すぐに戻ります」
話に夢中で気づかなかったけど
よく見たら2人の首から
小さなカード…ネームプレートと思われるものが掛けられていた
俺はつけてないけど
ここのスタジオを借りるために、
どこの会社の者かわかるように身に着けているのだろう
見ると白い髪の奴の方は、
平仮名で“まふまふ”と書かれている
でももう1人の方のカードは
まふまふって奴の影に隠れて見えない
くるりと体の向きを戻して
俺と反対の方向に歩き出すまふまふを横目で見ていると
視線に気づいたのか、もう1人の黒髪の人が
俺の方を見て控えめに会釈をした
咄嗟に俺も頭を下げる
その時一瞬見えた
そのプレートに書かれていた名前が
.
“そらる”と
.
368人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
名無しちゃん(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました、ガチ泣きしました、大好きです。これからの新作など応援してます(^^)! (2019年11月11日 4時) (レス) id: f7c3c5ac5b (このIDを非表示/違反報告)
ぽんず(プロフ) - 密かに新作楽しみにしています (2019年3月9日 12時) (レス) id: 98acc9f874 (このIDを非表示/違反報告)
あーやん - 完結おめでとうございます!!すっごく面白くて一気読みしてしまいました!めっちゃ感動しました...! (2019年2月9日 21時) (レス) id: e016ba62aa (このIDを非表示/違反報告)
Maa(プロフ) - 狐凪さん» ご名答でございます!!私の愛して止まない曲のひとつです。ここまでお付き合い頂きありがとうございました! (2019年2月9日 16時) (レス) id: 5b07d0752a (このIDを非表示/違反報告)
Maa(プロフ) - ティナさん» リクエストありがとうございました!!そう言って頂いて、書いてよかったと心から思います(;;)こちらこそ本当にありがとうございます! (2019年2月9日 16時) (レス) id: 5b07d0752a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Maa | 作成日時:2019年1月11日 20時