私たちは都合がいい【まふまふ】

9話 ページ11

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チカッ…チカッ…チカッ








私が向かった駅の近くに数台の車がある


一通り辺りを見渡して
ひとつだけハザードが点滅した車があり、そこへ向かう




窓ガラス越しに車の主がこっちに気づき
ゆっくりと窓を開けた








「こんばんは、A」







かけていたメガネを外し
溶けそうなほど甘くて優しい声で私の名前を呼んだ









あぁ…彼だ






『こんばんは』


「寒いでしょ、乗って」


『ん…ありがと』





助手席に座るともう一度彼を横目で見た




ワインレッドのワイシャツに
ゴールドのネックレスが光っている


そして彼独特の甘い甘い香り




「ふふっ。
なぁに、僕の顔変？」





しばらく見ていたせいで、
彼がクスクスと笑いながらこっちを見ている





『やっ…ちがう。今日もお洒落だなって』


「当たり前でしょ〜。Aと会うんだもん

気合い入れたよ？」




前髪を気にする仕草をする彼にますますときめく









「そう言えばさ」


『ん？』


「今日、









ちょっと酔ってる？」









―――っ！？


私のほんのり香るお酒の匂いを嗅ぐために
首元に顔を近づけてきた



首に彼の髪が当たりくすぐったい






「ふふっ、酔ってるAかわいい」


『…なっ、なにを』


「ねぇ」







…またあの顔になった









「今日も食べていいですか…？」









とろんとした顔で私を見る彼は
前に見た時と同じ







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ずるいよ、その顔


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