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梅雨入り前を最後に礼王くんがパタリと来なくなった。
もともと約束なんてしてなかったけど数日置きに食事を共にしていたから、数ヶ月単位で音沙汰がないのははじめてのことだった。
ついつい2人分料理を作ってしまう私の癖は、
礼王くんに会ってからは気がつけば彼の好きそうな献立を作るのが癖になっていた。
新緑が深まり、日差しの強い夏の日が続く。
夜になってもムシムシとする気温になかなか寝付けず散歩がてらコンビニまでアイスを買い求めた。
(うーん…買いすぎたかもしれない…)
年々代謝は悪くなるのに甘党好きは増すのは不公平だと感じながら帰路への道を歩いていると、後ろから聞き覚えのある懐かしい声が私を呼んだ。
振り向くと髪が伸びて少し大人っぽくなった彼がいた。
他愛ない話をしながら2人並んでアイスを頬張って歩いていると久しい看板が目に入る。
<花火大会 7/22>
(今年はやるんだ〜
しばらく行ってないな…いきたいなぁ…)
なんて思いながら見ていると、私より頭1つ分大きいであろう彼の声が頭上から降ってきた。
「一緒にいきます?」
『えっ…』
「俺も好きなんで……花火」
いつもの人懐っこい彼とは違う表情に思わずびっくりして一瞬言葉を失う。
一瞬が永遠に感じれるくらいの変な間が空いてから私は自分でも考えるより先に
『いく』
と返事をしていた。
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時