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[礼王side]
『夏の夜に食べるアイスって格別だよね〜』
俺の杞憂なんて露知らずの彼女は幸せそうな顔でアイスを頬張る。
その笑顔を横目でゆっくり捉えて噛み締める。
意識すればするほど彼女の存在が大きくなる。
(久しぶりに会ったからトキメキバロメーターの免疫が落ちているみたいだ、、、)
自分の中の葛藤となんとか悶え耐えていると、
突然、彼女のすらりとした脚が歩みを止める。
「…?」
彼女の視線の先には花火大会の看板。
あぁ…そういえばしばらく花火大会行ってないなぁ、、、
「今年はやるんですね」
『2年ぶりとかかな?花火好きなんだよね』
嬉しそうに微笑む彼女の笑顔にコトリと胸が高鳴る。
もっと、、、もっと彼女の笑顔が見たい
と心が叫ぶ。
あんなに自制しようとしていたのに笑顔1つで彼女への気持ちが一気に膨れ上がる。
「一緒にいきます?」
ほぼ無意識に彼女を誘っていた。
『えっ…』
「俺も好きなんで……花火」
彼女が少し動揺しているように見えるのは俺の都合のいい解釈なのかな?
……もっともっと動揺して、
俺に揺れればいい。
そして……俺を意識すればいい。
そんな甘くて意地悪な気持ちが俺を満たしていた。
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作者名:nao | 作成日時:2021年11月19日 22時