【派生作品】代わりになれば (ページ8)

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「カイトー！！」

バンッと勢いよく扉を開け放つユイト。

扉の先は、薄暗い部屋で床には大量の紙と玩具が散乱しておりベッドの上には毛布にくるまってグスグス泣いている男の子がいる。

「カイト？大丈夫？」
「ユイトぉ...ひ！だ、誰そいつ！！ボクが出来損ないだからって笑いに来たのか！？はいはい、どーせボクは天才児(笑)ですよーだ！」

熊のぬいぐるみを大事そうに抱き締め、ユイトの背後へ素早く隠れつつジンを威嚇する様は正しく猫のようで...ジンはそんな様子の男の子...カイトに興味を抱いた。

「あんさん面白いなぁ...。俺は学園長に頼まれて様子を見に来たジンや。宜しゅうな」
「学園長...オトギリさんに...？」
「せや。暫くは俺が様子見に来るから、あんま逃げないでほしいんやけど...」

その場でしゃがみカイトより視線を低くしながら話すジンに、カイトはユイトをチラ見した後ジンを見詰め困惑した表情をしながらもゆっくりコクリと頷いた。

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「あん時のカイトは面白かったなぁ」
「だって怖かったんだもん...」

あんな初対面から数年が経ち、カイトは今では高校3年となりもうすぐ卒業する。

ジンは中3になった頃にカイトから告白をされ、付き合うことにはなったものの付き合うことの条件として“カイトが卒業するまでは手を出さないし余り会わないようにする”というものだった。

「ジン...もうあと少しだしさ...キスくらいダメ...？」

ソファーに座るジンの上へ跨がり、頬を赤く染め恥ずかしそうにするカイトに今まで我慢しているジンの理性が切れそうになる。

「ダメやねぇ」
「お願い...キスだけして...」
「っ...キスだけやで？」

つくづくカイトに甘いジン。

ジンは唇だけ触れさせるが、唇が離れた瞬間カイトはジンの唇をかぷりと噛むと逃げるようにリビングからバタバタと慌ただしく飛び出していった。

残されたジンはというと...深く長い溜め息をつき、片方の掌で赤くなった顔を覆い隠していた。

「ほんま卒業したら覚えとけよ...カイト...」

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