十二分 ページ12
マイクがAの髪を乾かしたあと、先にリビングへと言ってしまう。そしてマイクがやっていたように、冷蔵庫を開けてコップにお茶を注いだ。
「できた」
満足気な笑みを浮かべ、冷たいものが喉を一気に滑り落ちる快感を感じる。
しばらくしてマイクが戻ってくると、Aは飲み干したコップを持ってマイクの元へ走った。
「ねーねーパパ！！ ひとりで飲めたよ……？」
目前にある姿に、首を傾げる。いつもはガチガチに頭を固めていたマイクだったが、風呂上がりということで長髪の金髪をゆるく結っていた。
その姿を初めて見たAは、ポカーンと口を開けたままだった。
「だ、だれ」
「俺だよ俺！ マイク！！ パパだ！！」
あわあわと震えるAに、小さく笑いながら答える。サングラスもかけておらず、しっかり見えたマイクの眼は渦巻き模様をしていた。
「ふしぎなめ」と呟くA。それほど目にコンプレックスを抱えているのかと考えた時、ふといいアイデアを思いついた。
マイクは洗面所へ戻り、ヘアピンを探し出してもう一度Aの元へ戻った。
「どうしたの？」
「まあまあ、ちょっとじっとしてろよ」
前髪の形を作り、軽く頭を抑えながらピンを刺す。
マイクはA洗面所まで連れていき、鏡の前へ立たせた。
「どうだー？ これで可愛くなっただろ？」
黄色いピンはちょうど右目だけを出すように髪に刺されていて、左目は長い髪で隠されたままの状態だった。
「……すごい、パパすごい」
美しく輝く赤い眼は、きらきらと揺るがせながら鏡に映る自分へと向けていた。まるで初めて自分の姿を見たけどのように、顔を揺らしては色んな角度から自分の姿を見つめていた。
「まぁそのままでも十分可愛かったけどな！ ついでに髪もくくってやる、ちょっとじっとしてろよ〜」
ヘアブラシでAのブラッシングをするも、ブラッシングの必要が無いほど一切絡まりもない髪にマイクは心地よさそうに触れていた。
(……養子じゃなかったら通報案件だったな、こりゃ)
そんなことを鏡を見続けるAの前で考えながら、少し高いところで白い髪を結った。
「どうだ？ 俺とおそろいだぞ〜」
くるんと小さなお団子にした髪型に、Aはさらに好奇心をくすぐられる。
「いっしょだ、パパといっしょ」
丸まった部分を手で包み込んだり、余った髪の毛の先をつんつんと手の平でつついたりしているAの顔は、最初に出会った頃より遥かに明るくなっていた。
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紫苑(プロフ) - うわああああ待って涙で前が見えないけどブラインドタッチィ―！うっうっ、涙腺が、涙腺が崩壊するたしけて (2月28日 17時) (
レス) @page47 id: 89604d43a6 (このIDを非表示/違反報告)
ただのらぁめん - 夜に読んでボロ泣きしました､､最ッッッ高でした (2023年4月2日 0時) (レス) @page47 id: 2cf0465f68 (このIDを非表示/違反報告)
San(プロフ) - 涙が止まらない素晴らしい作品でした（ ; ; ） (2023年3月1日 13時) (レス) @page45 id: b5216021f9 (このIDを非表示/違反報告)
rusya.(プロフ) - マイクパパｯｯｯｳｩｯｯ号泣。。素晴らしい物語に感化されました。ありがとうございました。。 (2022年12月13日 0時) (レス) @page47 id: f22ef2da16 (このIDを非表示/違反報告)
化け猫 - 涙が止まらないｯ!素敵な作品を作って下さりありがとうございます!生きてて良かったと思いました!(T^T) (2022年9月27日 16時) (レス) @page47 id: 7ab55173a1 (このIDを非表示/違反報告)
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